2014 Fiscal Year Annual Research Report
脳機能・脳構造画像解析と遺伝子多型解析による自己制御と欺瞞行動の神経基盤の研究
Publicly Offered Research
Project Area | Adolescent mind and self-regulation |
Project/Area Number |
26118710
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
阿部 修士 京都大学, こころの未来研究センター, 准教授 (90507922)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経科学 / 実験系心理学 / 社会系心理学 / 脳・神経 / 遺伝子 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はヒトの嘘を定量化する認知課題を用いて、fMRIによる脳機能画像実験を開始した。この認知課題は、Abe & Greene (2014)による論文で用いられた「コイントス課題」に若干の改良を加えたものである。 この課題で実験参加者は、コイントスの結果 - コインが表か裏か - を予想する。予想に成功すると、お金による報酬が与えられ、失敗するとお金が減ってしまう。この課題は2種類の条件-嘘をつくことができない「機会なし」条件と、嘘をつくことができる「機会あり」条件で構成されている。「機会なし」条件では、実験参加者は自分のコイントスの予測、つまりコインの表が出るか裏が出るかの予測を、ボタン押しによって記録する。一方、「機会あり」条件では、実験参加者はコインの表が出るか裏が出るかを、自分の心の中でのみ予測する。そしてコイントスの結果が呈示された後、実験参加者は自分の予測が正しかったかどうかを、ボタン押しによって報告する。「機会なし」条件では、実験参加者があらかじめ記録した予測に基づいて、正解・不正解が決定される。しかし「機会あり」条件では、コイントスの予測が成功したかどうかは自己申告に基づくため、ズルをして嘘をつくことが可能になる。したがって「機会あり」条件において、予測の正答率が偶然の確率を超えている場合、その実験参加者はお金を得るために嘘をついているとみなすことができる。 Abe & Greene (2014)の研究では、報酬を期待する際の側坐核の活動が高い被験者ほど、コイントス課題において嘘をつく割合が高いという知見が得られている。本研究ではこの成果を踏まえ、主に自己制御に関わる前頭葉機能の個人差に着目して実験を進めている。現時点では、正直さの個人差が大きいことが行動データから明らかとなっており、今後はこの個人差と前頭葉機能の関係性を明らかにしていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在までにデータ取得が順調に進んでおり、来年度以降はデータ解析により力を入れて進めていく予定である。2年間の研究期間内に、一定の研究成果を得ることが見込める状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度にはデータ取得を完了し、本格的に解析を進めていく。特に、正直さの個人差に与える影響を、脳機能・脳構造画像解析、遺伝子多型解析、質問紙の分析などを組み合わせて、多角的に検討していく。特に、自己制御に関わる前頭葉機能に着目して、解析を行う予定である。
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Research Products
(3 results)