2014 Fiscal Year Annual Research Report
目標達成のための長期自己制御力獲得支援法開発
Publicly Offered Research
Project Area | Adolescent mind and self-regulation |
Project/Area Number |
26118718
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
細田 千尋 東京大学, 総合文化研究科, 学術研究員 (20578976)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳可塑性 / 自己制御力 / 防衛的悲観主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
目標達成に向けて、月・年単位で様々な欲求を制御しながら努力を持続する『長期自己制御力』は、青春期に獲得すべき重要な能力である。しかし、そのメカニズムは未だに殆ど解明されていない。『長期自己制御力』の神経基盤を明らかにし、その獲得を支援する方法を開発することは、学校教育からのドロップアウトに伴う非行行動や若者の長期休職などといった現代社会の抱える問題解決に向けて、非常に重要である。そこで、今回“神経基盤に基づいた『長期自己制御力』の非侵襲的増強法の開発”を目的とした研究を実施した。 我々の先行研究により、『長期自己制御力』には、前頭極及び前頭極-尾状核回路の機能に加 え、メタ認知力と時間割引率が関わることが明らかになった。今回、我々は、学習中の達成感を沢山与える事が脳の可塑性をより誘導し、脳可塑性すら大きく向上させる事を明らかにした。さらに、この達成感を多く与える という強化子は、学習継続力にも有意に影響をする事がわかった(細かい達成感を与えると達成感が少ない学習群より、学習継続力が高い)。また、学習到達レベルが同程度であっても、細かい達成感を与えられ学習をした群のほうが、安静時脳機能結合状態が有意にあがり、特に、情動や報酬を司る脳の結合が強くなっている事が明らかになった。さらに、より個人差を詳細に検討するため、語学による長期介入実験を実施し、今度は、個人の悲観主義度合い、という性格特性と学習継続力の関連性、脳可塑性の関連性を検証する実験をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
84名の大学生被験者をあつめ、2ヶ月に及び英語学習介入実験をおこなった。 学習開始前に全員のモチベーションをインタビュー形式ではかり、全ての被験者において、高いモチベーションを持っている事を確認した。その上、で彼らに、知能テスト、英語テスト、性格検査(防衛的悲観主義、楽観主義、モチベーションスコア)を実施し、同時に、脳構造脳機能データ撮像も行った。 これらの結果を統合的に解析し、学習時自己制御力における個人差について検討する事ができた。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き解析を実施し、脳構造や性格特性の個人差が明らかになれば、今度は、脳刺激法を用いる。 既にパイロット実験は実施しており、本年度は、被験者を集め次第、刺激法をもちいて実験を開始する手はずは整っている。
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