2014 Fiscal Year Annual Research Report
未来を予期するこころの進化:チンパンジー集団を対象としたトークン使用の社会実験
Publicly Offered Research
Project Area | The Science of Mental Time: investigation into the past, present, and future |
Project/Area Number |
26119513
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
友永 雅己 京都大学, 霊長類研究所, 准教授 (70237139)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | こころの時間 / 比較認知科学 / 未来予測 / トークン / チンパンジー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、1 群のチンパンジーに食物などと交換が可能な「トークン」(代用貨幣)を導入するとともに、さまざまなトークン使用場面を設定することによって、チンパンジーの多様なトークン使用行動を引き出し、そこでみられる、トークンを使用する場所へ運搬する際に発揮される「こころの空間」にかかわる能力、そして、将来に備えてトークンを蓄えることを可能にする「こころの時間」にかかわる能力の検証を通じて、彼らの未来予測能力を「社会実験」として検討することを目的としている。本年度は、まず一個体をベースにした実験ブースでのトークン実験を実施した。実験室内において、チンパンジーに複数のトークンをあらかじめ与えておく。そして、2つの選択肢(コイン投入機)を提示した。一方の機械にコインを投入すると、リンゴ片がもらえるのに対し、もう一方の機械に投入した場合は認知課題が提示され、正解するとリンゴ片だけでなくコインが戻ってくる。まず、戻ってくるコインが0枚という条件で訓練を行ったところ、3頭中2頭は認知的負荷が少ない方の選択肢を好んだのに対し、1頭は積極的に認知課題を選択した。この結果は、Contrafree loadingやWork-ethic効果とも関連するものと考えられた。 また、実験室での1個体を対象にした実験だけでなく、集団実験に向けての機器開発も進めた。さらに、他の関連する班員との共同研究に向けての議論も進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
トークンを用いた個体ベースの実験は順調に推移している。次年度はこの成果をさらに進展させるとともに、集団を対象にした実験へと展開させていきたい。この点についても機器の開発等が順調に進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
本新学術領域研究では、関連する班員の間での共同研究、連携研究が推奨されている。本年度は関連する班員が集まってミーティングを行い各自の興味を集約し、共同研究の可能性を探った。われわれも他の班との共同研究に向けて準備をすすめつつある。
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