2014 Fiscal Year Annual Research Report
人工的遺伝子回路の発現レベルの予測モデルの構築
Publicly Offered Research
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
26119702
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
イン ベイウェン 筑波大学, 生命環境系, 准教授 (90422401)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 遺伝子発現 / ゲノム / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生体内ネットワークをデザインするために、生き物である細胞の特徴を考慮した設計原理を提案することを目指している。要するに、従来の分子生物学的法則に、細胞の柔らかさを考慮した遺伝子発現量を評価することである。分子生物学的法則とは、制御機構の種類に決められた遺伝子発現の平均である。細胞の柔らかさとは、ある決まった制御機構による遺伝子発現のばらつきである。つまり、細胞内タンパク質濃度の変化は制御機構に支配されるだけではなく、その制御機構を司る分子間相互作用の確率性にも左右されている。遺伝子発現量とその確率性は、大まかに遺伝子発現の制御に由来する成分と遺伝子座のゲノム位置に由来する成分の二つの要素が考えられる。本研究は、ゲノム位置の効果と制御機構の効果を分離して、遺伝子発現の平均量とその遺伝子発現ノイズを評価する。 今年度では、異なるゲノム位置にある遺伝子発現ノイズを観察するために、緑色蛍光タンパク質の遺伝子 (gfp) をゲノムに挿入した。その際、単純なプロモーター制御(Ptetによる定常発現)と天然の複雑な制御機構の両方を評価するために、各遺伝子座に対して2種の株を用意する。各株は同一環境下で生育させ、定常的発現量(緑色蛍光強度)をフローサイトメトリーにより計測し、同一集団内のタンパク質濃度の分布を得る。同一制御下での発現量と発現ノイズが、ゲノム位置によってどう変わるのかを計測した。そして、計測データに基づき、数式化のめどがついた。今後、数理的評価により、遺伝子発現のモデル式を提示し、遺伝子発現ノイズの評価が可能である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
異動に伴う実験室の設置が大学諸事情により、半年以上遅れていたため、実験スタート時期が予定より遅れていた。実験手法と内容の最適化によって、現状、8割程度まで追いついている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の遅れを取り戻して、研究方針を調整しながら、予定通りの成果を出す。 1)正確なデータを取得するため、各大腸菌株の増殖の詳細を評価する。 2)構築された大腸菌の計測を行い、集団分布から平均と分散を評価する。 3)必要に応じて、大腸菌株の構築の追加を検討し、ゲノムの構造評価を試みる。 以上、順次進めていく。
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Research Products
(5 results)