2014 Fiscal Year Annual Research Report
リン脂質代謝系を組み込んだ人工細胞の構築
Publicly Offered Research
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
26119704
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
車 兪徹 東京工業大学, 学内共同利用施設等, WPI研究員 (40508420)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脂質 / ゲノム / バイオテクノロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
再構築型無細胞タンパク質合成系(PURE system)を基盤技術として、リン脂質から調製したリポソームまたは、Nanodiscを反応系内に投入し、リン脂質合成に関わる膜タンパク質の合成を行った。その結果、plsBとpssAを除く6種のタンパク質に関しては、Co-translationalな膜挿入が確認され、80%以上の合成産物が可溶性画分に得られた。pssAとplsBに関しては、膜局在のためのヘルパー因子が必要であると考えられるため、これについても研究を進めている。また、GUV内タンパク質合成について、inner leafletのみに電荷を持った脂質を配位したGUV内でGFPを合成することに成功している。負に帯電したリン脂質は膜タンパク質の活性化に必須であるケースが多い。そのため、今後はアシンメトリックなGUV内での膜タンパク質酵素の合成を試みる。 計画班の陶山グループと共同して、GUV内タンパク質合成を外環境から操作できる無細胞技術の開発を行った。現在この技術をトグルスイッチ実験と組み合わせて研究を進めている。また同じく計画班の柘植グループと共同して、大腸菌ゲノム配列由来の解糖系遺伝子ついてPURE systemによる合成を行った。その結果、ポリシストロニックに並んだ遺伝子10種の内、メジャーバンドとして5種確認できた。nativeのnon translational 配列から合成が確認できたケースは初めてである。 2014年にAngew. Chem. に筆頭著者として1報、2015年にNature Protocolsから筆頭著者兼corresponding authorとして1報論がアクセプトされた。また、2015年に2月にアメリカ・ハーバードメディカルスクールのJack Szostak研究室と共同してworkshopを行い、本研究の成果について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
膜タンパク質酵素の生産・解析に特化した無細胞系の開発について成果が出ている。また、他のプロジェクトである脂肪鎖合成系の再構築との連携も視野に入りつつあり、今後アセチルCOAやマロニルCOAを基質とした脂肪鎖合成、及びリン脂質合成が期待できる。しかし、合成した膜タンパク質酵素の活性については十分に解析が進んでいないため今年度はこれを強化したい。 班間連系については、専門分野である無細胞合成系の知識・技術を提供しつつ、陶山グループや柘植グループとともに研究の推進に貢献している。
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Strategy for Future Research Activity |
NanoDiscによる無細胞合成膜タンパク質の単離と機能解析について実験結果を出し、系をより充実させる。GUV内タンパク質合成による膜機能の再構築を行い、人工細胞のための基礎を作る。無細胞合成した膜タンパク質酵素の活性を検出し、多酵素間における代謝系を再構築する。 班間連携をこれまで通り綿密に行う。とくに、陶山グループとの共同研究においては、GUV内合成技術をブラッシュアップし、外環境からのシグナルにより内部反応を自律制御する人工細胞の構築を目指す。また、柘植グループとの共同研究においては、PURE systemをもちいて、in vivoとin vitro間のデータの差異について詳細な考察できるよう研究を進める。
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