2014 Fiscal Year Annual Research Report
肝臓構築過程における細胞間相互作用ネットワーク解析
Publicly Offered Research
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
26119706
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
塩尻 信義 静岡大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (70162568)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 肝臓構築 / 人工遺伝子回路 / 数理モデル / マイクロアレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の器官構築過程では、構成細胞間で数多くの相互作用、しかも複雑にはりめぐらされた相互作用ネットワークが働くと推定される。その全貌の解明にあたり、細胞間相互作用に関わる因子群の網羅的発現解析とそのネットワーク構築・数理モデル化は必要不可欠であるし、ES/iPS細胞から臓器誘導を行う際の人工遺伝子回路の構築に大きく貢献できる。本研究の目的は、マウス胎生期肝臓構築における細胞間相互作用ネットワークの探索と解明、数理モデル構築を通して、肝臓の人工遺伝子回路の探索・設計を行うことである。マウス胎生12.5日肝臓は肝幹細胞である肝芽細胞、星細胞、血管内皮細胞、造血細胞、Kupffer細胞等から構成されるが、肝機能を殆ど示すことはない。この”未熟な”胎生期肝臓細胞の初代培養を行うと、3日以内に、肝臓の成熟マーカーの発現や微細血管網構築をともなう肝臓オルガノイドが形成される。肝臓オルガノイドの形成にあたっては構成細胞間で、種々の細胞間相互作用、ひいては一体となった細胞間相互作用ネットワークが不可欠である。血管内皮細胞を免疫磁気ビーズ法で除去したところ、肝芽細胞/肝細胞、星細胞などの細胞増殖や遺伝子発現がそこなわれた。この肝臓オルガノイド形成系において細胞間相互作用関連因子群の発現をマイクロアレイ法で経時的に解析すると、種々の細胞増殖シグナルや細胞外マトリックス等を介したシグナルが作用していた。次に各細胞種で発現する細胞間相互作用関連因子群の発現を調べるにあたり、マイクロアレイ解析に必要なRNA量を調製できる純化細胞(血管内皮細胞、星細胞、肝芽細胞ならびにこれら3種以外の細胞群)の単離法を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
免疫磁気ビーズ法を用いて、胎生期マウス肝臓細胞分散液より血管内皮細胞を除去し初代培養することにより、血管内皮細胞がないと、肝芽細胞や星細胞の増殖や遺伝子発現が大きくそこなわれることを証明した。また、各細胞種で発現する細胞間相互作用関連因子群の発現を調べるにあたり、星細胞や肝芽細胞の単離精製系の検討を行った。肝臓オルガノイド形成系において細胞間相互作用関連因子群の発現をマイクロアレイ法で経時的に解析し、種々の細胞増殖シグナルや細胞外マトリックス等を介したシグナルが作用することを明らかにした。これらのデータに関する数理モデル構築まではいたっておらず、研究計画の実施が全体的に遅れ気味ではあるが、本年度は研究計画の基礎部分を固めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、細胞種ごとに、細胞間相互作用関連因子群の発現をマイクロアレイ法により網羅的に解析し、その発現情報を、想定される各細胞間での相互作用に具体的に入れ込み、細胞間相互作用ネットワークの全体像を明らかにする。さらに、培養系の肝機能レベルと、肝芽細胞/肝細胞に入る各種シグナルとの関係について、特定のリガンド発現と、受容体の発現に関する計測値をもとに数理モデル化を検討し、肝臓の人工遺伝子回路の構築に貢献する。
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Research Products
(4 results)