2014 Fiscal Year Annual Research Report
論理モデルによる構造探索を併用した多要素人工遺伝子回路の効率的設計方法の開発
Publicly Offered Research
Project Area | Synthetic biology for the comprehension of biomolecular networks |
Project/Area Number |
26119713
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
松野 浩嗣 山口大学, 理工学研究科, 教授 (10181744)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 合成生物学 / 人工遺伝子回路 / 論理モデル / 動的モデル / 相平面解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
Gardnerら(2000)による2変数トグルスイッチモデルの3変数拡張を行った。2変数の場合の相平面グラフにおいて安定点に向かう軌跡に対応する、3変数の場合の安定点への軌跡を示す条件を求めるのは容易であるが、不安定点に到達する軌跡の条件を求めるには3つの変数の大小関係の整理が必要であり、本研究ではそれを実施してこの軌跡の条件を求めた。これによって、n変数のトグルスイッチまで一般化できる条件を得ることができた。 これに加えて、3次元グラフィックスによって、3変数トグルスイッチモデルの軌跡を可視化し、2変数トグルスイッチの自然な拡張となっていることを直感的に確認できるデモンストレーションを作成した。 さらに、状態を強制的に移動させるインデューサ-の導入についての検討も開始し、2変数モデルについて1つのインデューサ-変数で状態移動を可能とする論理モデルを提案し、その動作をGINSimで状態推移を観察することにより確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3変数トグルスイッチモデルについては、ブール関数による論理モデルと微分方程式による動的モデルの対応付けに成功し、提案する論理モデルによる構造探索後に動的モデルを作成するという2段階設計方法の実現可能性を実証する結果を得ることができた。さらにElowitzら(2000)の振動モデルについても論理モデルと動的モデルの対応づけを試みており、3変数トグルスイッチと同様な対応関係が可能なことを確かめている。MATLABと同等な機能をもつScilabでもシミュレーションも実行し、良好な結果を得ていることから、作成したモデルは当初の目標の5件には及ばないものの、おおむね順調に研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
トグルスイッチや振動モデルと異なる現象のモデルについて、論理モデルと動的モデルの実行結果が対応付くことを確認する。動的モデルについては微分方程式だけでなくハイブリッドペトリネットを使ったモデル作成にも取り組む。さらに、作成したモデルを生物学的に実現するため、具体的な遺伝子デザインの研究にも着手する。加えて、最終目的である多要素人工遺伝子回路の設計方法の開発に道筋をつけるため、トグルスイッチや振動モデルなどのを要素として組み合わせた大規模システムの論理モデルと動的モデルの作成にも取り組む。
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