2014 Fiscal Year Annual Research Report
生体系固体NMR解析の高度化とスパースモデル
Publicly Offered Research
Project Area | Initiative for High-Dimensional Data-Driven Science through Deepening of Sparse Modeling |
Project/Area Number |
26120501
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
出村 誠 北海道大学, 先端生命科学研究科(研究院), 教授 (70188704)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 固体NMR / 膜タンパク質 / PRE / 安定同位体 |
Outline of Annual Research Achievements |
固体NMR法の解析ターゲットには、膜タンパク質や神経変性疾患関連の不溶性タンパク質巨大凝集体アミロイドなどが挙げられる。膜タンパクを結晶化によらず、「生」の状態で観測できる有力な計測法が固体NMR法であるが、NMRスペクトルから生体分子の構造や運動情報などを解析するには、分子を構成する原子一つ一つとスペクトル上の信号を対応づける帰属作業が不可欠である。この計測・解析技術は発展途上であり、新しい方法が切望されている。現在の固体NMR法は信号のピーク線幅が広く、信号が縮退しやすいという課題があり、多数の縮退信号解析は、既存の帰属法では困難である。そのためスパース信号情報の概念を導入した新規構造解析法を評価する技術開発が不可欠である。本研究では、安定同位体ラベル膜タンパク質の縮重する固体NMRスペクトルを従来より高速計測し、難解析性の膜タンパク質等の立体構造を高次元データに普遍的に内在するスパース性を利用し、NMR関連ビックデータを用いた情報科学から解析・評価する技術開発を目的とした。平成26年度は、構造情報を強く反映するスペクトル測定法の開発、およびPREを考慮したNMRスペクトル計算法の開発をテーマとした。評価用モデルタンパク質GB1の安定同位体試料を調製、信号強度に構造情報が反映される手法(PRE)を用いて計測した。分子モデリング精度の評価するために、原子座標計算による分子モデルをインプットとするスペクトル計算方法の解析も行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
構造情報を強く反映するスペクトル測定法の開発、およびPREを考慮したNMRスペクトル計算法の開発をテーマとした成果をおおむね達成している。
|
Strategy for Future Research Activity |
■モデルタンパク質を用いた立体構造決定:前年度構築したスペクトル計算モデルと分子モデリングプログラムの組み合わせ方を検討するために、構造既知のモデルタンパク質について、立体構造決定を試みる。 ■膜タンパク質の立体構造決定への応用:上述の手法が固体NMR 法の主要ターゲットの一つである膜タンパク質に対しても有効であるか検討するため、微生物型ロドプシンなど他のタンパク質を対象にして実験を行う。一連の解析によって本手法の有効性実証、ならびに精度向上を図る。 本研究で開発する手法が未知の構造のタンパク質に対しても立体構造決定に有効であることを示すことを目指す。
|