2014 Fiscal Year Annual Research Report
スパース性を利用した大自由度非線形システムのデータ解析とモデリング
Publicly Offered Research
Project Area | Initiative for High-Dimensional Data-Driven Science through Deepening of Sparse Modeling |
Project/Area Number |
26120513
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
中尾 裕也 東京工業大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (40344048)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 非線形ダイナミクス / 大自由度力学系 / 縮約理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近年の計測技術の進歩により得られるようになっている大自由度で非線形性を有する複雑なシステムからの多量のデータに対する力学系の観点を取り入れた解析手法を発展させることである。特に、非線形力学系の縮約理論の観点から、計測データからスパースな支配的モードを抽出して大自由度非線形システムをモデリングする新しい方法論を確立することを目指す。平成26年度は本研究計画の初年度であり、スパース性を利用した大自由度非線形システムのデータ解析とモデリングに関して以下の各テーマに関する研究を実施した。(i) 反応拡散系や熱対流系等の無限次元の力学系における安定なリミットサイクル解に対する位相縮約理論の発展。従来の低次元力学系における理論を拡張して、反応拡散系におけるスパイラル波やターゲット波等の時間周期的な空間パターンに対して適用可能な理論を発展させた。その種の時空パターンは化学や生命科学において様々な実例が知られており、その機能的意義や制御法等に感心が持たれている。この理論を用いて、ふたつの結合した時空パターン間に生じる同期現象等を解析した。得られた結果の一部は、国内外の学会および国際学術論文誌にて発表した。(ii) 本計画では力学系から位相的な自由度を見出すためにKoopmanモードに着目するが、時系列データからKoopmanモードを効率的に抽出する手法として、統計科学におけるカーネル法に基づく手法について理論的に考察した。その結果、従来の手法に比べて効率的にKoopmanモードを求められる可能性が示唆されており、今後この手法の有効性を数値シミュレーション等により確認してゆく予定である。(iii) その他、非線形力学系の縮約理論に関係する研究を実施した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無限次元力学系に関する位相縮約理論は順調に進んでおり、その成果の一部は研究会や論文等で既に発表している。Koopman解析については理論的な枠組みを発展させてきており、その有効性について今後数値計算等により確認してゆく予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度に引き続き、スパース性を利用した大自由度非線形システムのデータ解析とモデリングに関する研究を進め、ダイナミクスの制御等への応用についても考察し、成果を公表する。
|