2014 Fiscal Year Annual Research Report
変数選択安定性を重視した変数選択を用いたオミックス疾患バイオマーカー探索
Publicly Offered Research
Project Area | Initiative for High-Dimensional Data-Driven Science through Deepening of Sparse Modeling |
Project/Area Number |
26120528
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
田口 善弘 中央大学, 理工学部, 教授 (30206932)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | マイクロRNA / 普遍疾患バイオマーカー / 遺伝子発現解析 / 自己免疫疾患 / 非小細胞肺がん |
Outline of Annual Research Achievements |
※循環microRNAを用いた疾患バイオマーカー探索に本研究プロジェクトで開発された「主成分分析を用いた教師なし学習を用いた変数選択法」を適用し、7つの疾患(アルツハイマー、カルシノ―マ、冠動脈疾患、鼻咽頭癌、細胞性肝がん、乳がん、および、白血病)を健常者から判別する疾病非特異的な普遍的な疾患バイオマーカーを見出すことに成功した。 ※3種類の自己免疫疾患(リウマチ、全身性紅斑性狼瘡、皮膚筋炎)に共通のプロモーターメチル化異常を起こしている遺伝子の探索に本研究プロジェクトで開発された「主成分分析を用いた教師なし学習を用いた変数選択法」を適用し、遺伝子を特定することに成功した。 ※非小細胞肺がんセルラインのリプログラミング実験データで遺伝子発現とプロモーターメチル化の統合解析を行い、非小細胞肺がんの疾患原因遺伝子を推定した。また、ごく順序付け不可能な多クラスサンプルに対する解析手法としても提案手法である主成分分析を用いた教師なし学習に基づく変数選択が有効に働くことを証明した。 ※同じく、非小細胞肺がんの転移性セルラインにおける遺伝子発現とプロモーターメチル化の統合解析を行い、非小細胞肺がんの疾患原因遺伝子を推定した。また、ごく順序付け不可能な多クラスサンプルに対する解析手法としても提案手法である主成分分析を用いた教師なし学習に基づく変数選択が有効に働くことを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の研究計画では、遺伝子発現とプロモーターメチル化の統合解析を試みた。本研究計画の最大の目的は「主成分分析を用いた教師なし学習による変数選択」法をより広い対象に適用することである。研究実績の概要で述べたように、本年度は「プロモーターメチル化と遺伝子発現という質的に異なったデータの統合解析に提案手法が有効であることの証明」「順序付け不可能な多クラス分類のデータの解析に提案手法が有効であることの証明」「提案手法にはサンプル依存性が少なく、より安定なバイオマーカーが選択可能であること」などを証明することができ、概ね計画通りの成果を得ることができていると判断できる。また、同手法について教科書的な解説文を著書(共著)の一章(英文)として刊行でき同手法を世界に広く宣伝することにも成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに遺伝子発現とプロモターメチル化の統合解析、順序付け不可能な多クラスデータの解析、安定的な変数選択に提案手法が有効であることの証明に成功している。計画の最終年度である今年度は、同手法を用いて、単純なバイオマーカーや原因遺伝子の特定に留まらず、生物学的な機構の解明にまで踏み込んだ研究を行う予定である。具体的な研究計画として以下のものを上げている。 ※心的外傷後ストレス障害に伴う心臓疾患:近年、心的外傷後ストレス障害に伴って心臓疾患が発生することが注目されているが、その遺伝子学的、および、分子生物学的な背景はわかっていない。これについて、ストレスを与えたネズミの心臓の遺伝子発現パターン及びマイクロRNA発現パターンの統合解析から発生機構を解明し、治療薬の提案まで行う。 ※筋萎縮性側索硬化症はまれな疾患ながら近年、治療対象として多くく注目されているが、その遺伝子学的、および、分子生物学的な背景はわかっていない。これについて、筋萎縮性側索硬化症の患者の皮膚から作成した培養細胞の複数の遺伝子発現データを統合解析することで発生機構を解明し、治療薬の提案まで行う。 ※世代間表現型継承(Transgenerational Epigenetics)は、遺伝子の変化を伴わない遺伝の担い手としていわゆるラマルク進化の文脈からも注目を集めている概念である。ネズミに内分泌かく乱物質(いわゆる環境ホルモン)の暴露を行うことで世代間表現型継承が生じることが知られている。そこでこのようなネズミの脳における遺伝子発現データとプロモーターメチル化データの統合解析を用いて、その遺伝子学的、および、分子生物学的な背景の解明を目指す。
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Research Products
(6 results)