2014 Fiscal Year Annual Research Report
大規模神経活動イメージングによる皮質コラムの階層型情報変換機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Initiative for High-Dimensional Data-Driven Science through Deepening of Sparse Modeling |
Project/Area Number |
26120532
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
船水 章大 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 研究員 (20724397)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 皮質 / 二光子顕微鏡 / 識別器 / デコーディング / スパース / 頭頂葉 / 神経科学 / 脳科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの音源定位課題を実施し,頭頂葉・二次視覚野の皮質1-5層の神経活動を,二光子顕微鏡走査法で計測した.二光子顕微鏡での神経活動計測のために,マウス頭部を固定し,マウスを顕微鏡下に設置した.12個のスピーカをマウス周囲に設置し,仮想音環境を作成した.音源定位課題で,マウスは,仮想環境上の音源に到達すると,報酬の水を得た.仮想環境で,音源からの音刺激を再現するために,マウスの歩行運動に応じて,刺激用スピーカ・音圧を変更した. 本研究は,音源定位課題中の8匹のマウスから,神経活動を計測した.同計測では,蛍光カルシウムプローブのGCaMP6fを発現したアデノ随伴ウイルスを,頭頂葉・二次視覚野に打ち込んだ.二光子顕微鏡走査法で,皮質1,2,3,5層の細胞から,神経活動を計測した. これまでに,皮質2,3,5層の神経活動を解析した.頭頂葉の皮質2,3,5層では,それぞれ,8371,7108,4859個の細胞から,神経活動を計測した.一方,二次視覚野では,7788,7005,5900個の細胞の活動を計測した.合計41031細胞の超多次元データを取得した. 皮質2,3,5層の神経細胞の活動は,音源までの距離に相関した.そこで,L1正則化の線形回帰 (least absolute shrinkage and selection operator: LASSO) を用いて,神経細胞群の活動から,音源までの距離を推定 (デコード) した.また,LASSOで,同推定に寄与する神経細胞を,スパースに抽出できた.今後,神経活動の流れを可視化するために,スパース性を持つ因果分析を実施する. なお,これまでの神経活動計測はすべて,皮質各層の神経活動を別々に計測した.複数層の神経活動を同時に計測し,皮質間の情報処理を調べるために,ピエゾアクチュエータを購入した.同装置のセットアップは,現在実施している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マウスの音源定位課題を実施し,皮質各層から神経活動を解析できた.また,各層の神経細胞群から,LASSOを用いて,音源までの距離に寄与する細胞を抽出できた.この解析結果は,国内外の学会で発表できた. 皮質で,複数層の神経活動を多細胞同時計測できるピエゾアクチュエータを購入した.ただし,セットアップは完了していない.
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Strategy for Future Research Activity |
ピエゾアクチュエータのセットアップを完了し,皮質の複数層の細胞で,神経活動を多数同時計測する.この実験と同時に,スパース性を持つ因果分析を開発し,神経活動に適用する.また,新学術領域内での議論を加速し,新規の解析手法開発につなげたい.得られた成果を,国内外の学会で発表し,国際的な学術雑誌に投稿する.
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