2014 Fiscal Year Annual Research Report
スパースモデリングを用いた大脳中次視覚野における自然視覚情報処理機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Initiative for High-Dimensional Data-Driven Science through Deepening of Sparse Modeling |
Project/Area Number |
26120536
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
西本 伸志 独立行政法人情報通信研究機構, 脳情報通信融合研究センター脳情報通信融合研究室, 主任研究員 (00713455)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経科学 / 脳情報デコーディング / 言語モデル / 予測モデル / 自然知覚 |
Outline of Annual Research Achievements |
スパースモデリング手法を用いて大脳視覚領野における神経表象の定量と可視化を推進した。特に下記(1)と(2)について顕著な進展が見られた。 (1) 私たちが日常的に受けとる視覚入力は非常に複雑・多様かつダイナミックなものであるが、そこから最終的に得られる知覚は言語等によって記述できるよりスパースなものである。このため、視覚体験のスパース情報表象理解の試みとして、自然言語処理技術を応用した定量的モデルを新たに構築し、同モデルによって自然視覚体験下におけるヒト脳神経活動の説明と予測を試みた。この結果、同モデルはヒト大脳皮質後頭部から下側頭部にかかる広い領域(主に中次から高次視覚領野)の脳活動をよく説明することが分かった。また同モデルの逆関数を求めることで、脳活動から知覚内容を推定することにも成功した。これらの結果は、ヒト脳活動を説明するスパース表象としての自然言語モデルの有効性及び重要性を示すものである。 (2) 中次視覚野において自然動画刺激下における神経細胞単位の活動を運動エネルギーモデル等を用いてモデル化した。同モデルの表象内容を解析することにより、各種視覚表象の皮質局所領域におけるクラスタリングや空間勾配を定量可視化することが出来た。表象の皮質内分布の様相を理解することは、機能的神経回路形成機序の解明、及びfMRI(機能的磁気共鳴画像法)等のより大局的な脳活動計測データに関するモデル構築等に重要な示唆を与える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
脳神経活動モデル化に関して、スパースモデリング手法の適用によって高精度かつ解釈可能性に優れたモデル化が実現している。また中次視覚野における局所機能構造に関しての新知見が得られつつある。これらにより、申請時に想定していた研究内容がおおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、多様なモデリングアプローチの適用を介したより精度の高い脳神経活動モデルの構築、及びその定量可視化を介した神経表象の定量理解を推進していく。更に同モデルの逆問題を解くことで脳情報デコーディングの高度化も平行して行っていく。
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