2014 Fiscal Year Annual Research Report
眼窩前頭皮質-嗅結節経路を介した摂食行動の意思決定メカニズムの解明
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of neural computation for prediction and decision making: toward better human understanding and applications |
Project/Area Number |
26120709
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 航志 東京大学, 医学(系)研究科(研究院), 特任助教 (10631913)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 神経科学 / 嗅結節 / 眼窩前頭皮質 / 摂食 / 意思決定 |
Outline of Annual Research Achievements |
動物の摂食行動は反射的なものではなく、食物のおいしさや安全性などの報酬価値の予測にもとづいて食べるか食べないかを決定する。本研究の目標は、過去の経験にもとづく摂食行動の意思決定に、眼窩前頭皮質から嗅結節への神経経路がいかに関わるかを明らかにすることである。 先行研究と申請者の予備実験で、腹側線条体の一領野である嗅結節は食物を探し摂食するモチベーションに関わること、また過去の経験や周囲の状況に応じてその活動性が変わることが見いだされていた。平成26年度の研究では、嗅結節の活動性変化を解剖学的な特徴にもとづくドメイン分けと対応させて評価した。その結果、嗅結節は対象物の価値によって活性化ドメインが切り替わり、摂食モチベーション行動の誘起には主に前内側ドメインが関わることを見いだした(論文投稿中)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成26年度は嗅結節自体の機能解析が進んだ。対象物の価値に応じた嗅結節活性化ドメインの切り替わりの観察と並行して、この嗅結節ドメイン構造の発達過程を調べ、嗅結節の発達がマウスの離乳行動に関わる可能性が見いだされた。また、嗅結節の神経細胞除去実験より、嗅結節が飼料探索行動の柔軟性に関わる可能性が示唆された。 以上の成果を土台として、今後は嗅結節への主要な入力元の1つである眼窩前頭皮質まで研究対象をひろげていく。
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度では、はじめにマウス嗅結節の亜領域の特定の細胞腫に投射する眼窩前頭皮質のニューロンを標識するシステムを構築する。これにより、嗅結節の摂食促進ドメインもしくは摂食拒否ドメインへと投射する眼窩前頭皮質ニューロンを可視化する。その後、最初期遺伝子の発現応答を指標にして、マウスが飼料を探索し摂食するまでの行動時の眼窩前頭皮質ニューロンの神経活動を評価し、嗅結節への投射ドメインの違いにもとづいて比較する。また、塩化リチウム投与によりマウスは食べた飼料と腹部不快感を関連づけ、以後その飼料を食べなくなる。この摂食拒否の獲得による眼窩前頭皮質ニューロンの神経活動の変化をあわせて評価する。
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