2014 Fiscal Year Annual Research Report
細胞特異的逆行性ウイルスベクターを用いた衝動性セロトニン神経回路網の解析
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of neural computation for prediction and decision making: toward better human understanding and applications |
Project/Area Number |
26120714
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
金子 周司 京都大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (60177516)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セロトニン / 行動解析 / パッチクランプ / チャネルロドプシン / ハロロドプシン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、改善型セロトニン神経特異的ウイルスベクターに加え、高頻度逆行性ウイルスベクターおよび光遺伝学的技術を組み合わせ、縫線核セロトニン神経回路網と各表現系の関係性を特に衝動性に着目して明らかにすることである。本年度は、改善型セロトニン神経特異的ウイルスベクターを用いて神経興奮性のChETAおよび神経抑制性のeArchTを発現させたラットおよびマウスにおいて、縫線核の急性単離切片を作製し、光照射に応じたセロトニン神経制御が可能であることを確認した。また、背側縫線核にChETAを発現させ、セロトニン神経特異的に光刺激による活性化を行った際に、尾懸垂試験におけるうつ様行動が有意に減弱するが、高架式十字迷路における不安様行動には影響を与えないことを見い出した。一方で、背側縫線核にeArchTを発現させ、セロトニン神経特異的に光刺激による抑制を行った場合にはうつ様行動および不安様行動に影響を与えないことを明らかにした。これらの結果は、背側縫線核の直接的な活性化が抗うつ薬様作用の発現に十分であることを示すものである。さらに、各投射先ごとのセロトニン神経回路特異的な光刺激を可能にするため、改善型セロトニン神経特異的ウイルスベクター投与後1, 2, 3ヶ月後において解析を行ったところ、1-2ヶ月で腹側被蓋野において、3ヶ月後において側坐核、前頭皮質などセロトニン神経投射先におけるChETAの発現を確認した。今後、これら投射部位において光照射によるセロトニン神経特異的な刺激あるいは抑制が可能であるか検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高頻度逆行性ウイルスベクターにおいてはウイルスを作製し解析を行ったが、逆行性に発現が認められた細胞数は少なく、実用レベルではなかった。一方で、セロトニン神経特異的な刺激あるいは抑制による行動学的変化を一部解明できた他、ウイルスベクターレパートリーの拡充、ウイルス投与後の回復期間を延長することにより投射先におけるChETAの発現確認ができている。
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Strategy for Future Research Activity |
高頻度逆行性ウイルスベクターによるChETAの発現は実用レベルではなかったものの、順行性に投射先までChETAが移行することを確認できているため、今後はcre-loxP系を用いた遺伝子発現量の上昇、あるいは光に対してより応答性の高いChR2変異体を用いることで、セロトニン神経単一回路選択的な刺激の検討を推進できると考えている。また、現在作成中である薬物依存における衝動性亢進動物モデルを中心としたセロトニン神経回路の機能に対する検討を進めていきたいと考えている。
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Research Products
(8 results)