2014 Fiscal Year Annual Research Report
報酬予測に基づく待機行動を制御する神経機構の解明
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of neural computation for prediction and decision making: toward better human understanding and applications |
Project/Area Number |
26120728
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
宮崎 勝彦 沖縄科学技術大学院大学, 神経計算ユニット, 研究員 (10426570)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | セロトニン / オプトジェネティクス / 衝動性 / 辛抱強さ |
Outline of Annual Research Achievements |
神経修飾物質の一つであるセロトニンは衝動性を生み出す神経基盤の中で重要な役割を担うことが示唆されているが、現在までその機能における統一的な見解は得られていない。申請者らの先行研究において、遅延報酬待機行動中マウスの背側縫線核のセロトニン神経活動をオプトジェネティクスの手法を用いて活性化させると待機行動が促進されるという結果を得た。これらの結果は、報酬獲得のために動きを抑えた状態を維持する必要があるとき、背側縫線核セロトニン神経活動が活性化されることでその自制的な行動制御を可能にしていることを示している。 平成26年度では、遅延報酬獲得課題においてセロトニン神経細胞の光刺激による待機行動促進効果はどのような状況でより効果が発揮されるかを調べるため、遅延報酬獲得課題において報酬の確率および量を変化させた実験を行った。実験では報酬遅延期間を3秒とし、①報酬確率75%で1試行につき1個のエサ(報酬75%, エサ1個)、②報酬確率75%で1試行につき2個のエサ(報酬75%, エサ2個)、③報酬確率50%で1試行につき1個のエサ(報酬50%, エサ1個)、④報酬確率50%で1試行につき3個のエサ(報酬50%, エサ3個)、⑤報酬確率25%で1試行につき1個のエサ(報酬25%, エサ1個)、⑥報酬確率25%で1試行につき3個のエサ(報酬25%, エサ3個)の6条件で実験を行った。条件①と条件⑥および条件②と条件④では、一回の課題中に獲得できる報酬量をそれぞれ等しくした。本年度に6匹のマウスを用いてこの実験を行った。現在実験結果を解析中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで申請者らの先行研究において、遅延報酬待機行動中マウスの背側縫線核のセロトニン神経活動をオプトジェネティクスの手法を用いて活性化させると待機行動が促進されるという結果を得た。本研究は、将来獲得できる報酬を辛抱強く待つことに関わるセロトニン神経系は将来の予測を利用するモデルベースの機構を用いて適応的な行動制御に関与するとの仮説のもと、遅延報酬待機行動を制御する神経基盤の解明を目的とする。平成26年度では、遅延報酬獲得課題においてセロトニン神経細胞の光刺激による待機行動促進効果はどのような状況でより効果が発揮されるかを調べるため、遅延報酬獲得課題において報酬の確率および量を変化させた実験を行い、論文作成のための十分なデーターを得ることが出来たため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度実施した実験結果を踏まえ、平成27年度には背側縫線核のセロトニン神経はどの投射先に影響を与えることでより辛抱強く行動できるようになるのかを調べる。これを明らかにするために背側縫線核セロトニン神経細胞の投射先に光ファイバープローブを埋め込み、投射先を光刺激することで部位選択的にセロトニンを放出または抑制させ報酬省略試行時の待機時間に対する効果を調べる。候補の部位として、これまでの研究で衝動的行動との関与が示されている前頭眼窩野、前頭前野、および側坐核に注目する。特に前頭眼窩野では、匂いを用いた弁別課題において弁別刺激に対する確信度と相関する神経活動が報告されており、セロトニン神経細胞の活性化が辛抱強さを増進する際に働きかける有力な候補と考えている。
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Research Products
(5 results)