2014 Fiscal Year Annual Research Report
意思決定のための価値の生成と統合の脳機能:数理モデルの提案とその実験検証
Publicly Offered Research
Project Area | Elucidation of neural computation for prediction and decision making: toward better human understanding and applications |
Project/Area Number |
26120732
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
中原 裕之 独立行政法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (10312282)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 意思決定 / 強化学習 / 神経科学 / 価値 / 経済学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「意思決定のための価値の生成と統合の脳機能」の解明にある。目的達成に向け、数理モデル提案と実験検証を合わせて行うことに留意し、研究を進めた。この目的は二つに大別できる。 目的Iは価値の「学習」、特に「価値予測を形成する脳内入力の表現学習」と価値学習の関係に焦点をあてている。ここではドーパミン神経細胞活動を題材に、従来想定の“直観的、習慣的なモデルフリー脳機構”を置き換え、「表現学習と統合されたモデルフリー学習」の提案/検証を行う。この着想自体が国際的にもユニークであり、この構想と将来の研究の方向を提案したオピニオン論文 (Nakahara H, 2014, Current Opinion in Neurobiology. 25: 123-129) は、様々な方面から良い反響を得た。さらに、この構想の実例として、新しい強化学習の脳計算モデルを構築し、それを実験データと比較した論文も発表した (Kaveri S, Nakahara H, 2014, PLoS ONE. 9(10): e108142.)。 目的IIは価値に基づく「行動選択」、特に「複数の価値統合による行動選択」に焦点を当てている。特に社会的意思決定をとりあげ、異なる起因で生成された複数の価値統合がそれぞれ脳内のどこで処理されるかの脳機能解明を目指している。ヒトfMRI実験では、従来想定の価値意思決定試行に加え、他者への報酬に起因する価値付加試行を用意し、そこでの価値意思決定を検討している。さらに他者価値付加試行の検討のために、自己価値付加試行も実験課題に入っている。これらの試行を用いて、脳の情報処理を深く解析できるモデル化解析手法を適用した。なお、これらの予備的成果は、複数の学会発表で高い評価を得ることができた。また、学術論文執筆に向け、より徹底した実験データの取得と解析も進めることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
欲を言いだせばきりがないというのが事実ではあるが、目的I,IIの両方でほぼ順調と考えている。目的Iは、構想の提案とその実装の最初の一例を成果として出版することができたので、おおむね順調に進んだと言える。目的IIも学術論文の投稿準備への入り口まで何とか進んだので、おおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は目的IIに力点をおいて進めたいと考えている。特に、学術論文誌への投稿をするための一段深いレベルのデータ解析を進めることと論文執筆を順調に進めたい。また、適時状況に応じて、一部追加実験を行うことを視野に入れている。たとえば、現在の実験データに追加すべき実験および現状の解析からその先に解明すべきも明らかなので、その検討に資する実験を行う。また、本研究の意義を知らしめるために、学会などに積極的に発表していく予定である。
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Research Products
(11 results)
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[Presentation] How is reward of others integrated to make one's own decisions in neural mechanisms?2014
Author(s)
Fukuda H, Ma N, Suzuki S, Harasawa N, Ueno K, Gardner JL, Ichinohe N, Haruno M, Cheng K, Nakahara H.
Organizer
The 44th Annual Meeting of the Society for Neuroscience
Place of Presentation
Washington DC, USA.
Year and Date
2014-11-17 – 2014-11-17
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[Presentation] How is reward of others integrated to make one's own decisions in neural mechanisms?2014
Author(s)
Fukuda H, Ma N, Suzuki S, Harasawa N, Ueno K, Gardner JL, Ichinohe N, Haruno M, Cheng K, Nakahara H.
Organizer
Vision, Memory, Thought: How Cognition Emerges from Neural Network (VMT2014)
Place of Presentation
東京、日本
Year and Date
2014-11-07 – 2014-11-07
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