Project Area | What is dark matter? - Comprehensive study of the huge discovery space in dark matter |
Project/Area Number |
20H05850
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
|
Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村山 斉 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (20222341)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 昌広 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 教授 (40374889)
高橋 史宜 東北大学, 理学研究科, 教授 (60503878)
村瀬 孔大 京都大学, 基礎物理学研究所, 特任准教授 (00839433)
柳 哲文 名古屋大学, 理学研究科, 講師 (60467404)
道村 唯太 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 助教 (80747006)
宮崎 聡 国立天文台, 先端技術センター, 教授 (20290885)
山崎 典子 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, 宇宙科学研究所, 教授 (20254146)
西田 昌平 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (20370075)
小松 英一郎 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 主任研究員 (00750316)
山崎 雅人 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 准教授 (00726599)
安藤 真一郎 東京大学, カブリ数物連携宇宙研究機構, 客員科学研究員 (80791970)
|
Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥27,690,000 (Direct Cost: ¥21,300,000、Indirect Cost: ¥6,390,000)
Fiscal Year 2022: ¥7,800,000 (Direct Cost: ¥6,000,000、Indirect Cost: ¥1,800,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2020: ¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
|
Keywords | ダークマター |
Outline of Research at the Start |
ダークマターは存在が確実で,宇宙の星や銀河を作った立役者だが,その正体は不明である。 本領域ではダークマターの質量で90桁に亘る広大なディスカバリースペースを網羅的にカバーするため,今までにない多角的な方法で理論から宇宙観測・地上実験にまたがる研究領域を拓くことを目指す。近年急速に技術が成熟したレーザー干渉計や,すばる観測・加速器・人工衛星 ・重力波・高エネルギーニュートリノを含むタイムリーな実験・観測でダークマターに迫る。特に日本の投資による既存の最先端施設を有効活用し,若手研究者のユニークなアイディアによって工夫を加えることでインパクトの高い結果が出すことを目指す。
|
Outline of Annual Research Achievements |
宇宙の物質の大部分を占めるダークマターの正体を解明するために、今までにない多角的な方法で理論から宇宙観測・地上実験にまたがる研究領域を拓き、その正体に迫る。具体的には、サイエンスの柱とし「軽いダークマター」「重いダークマター」「巨視的ダークマター」を立て、約90桁の範囲にも及ぶ広い質量範囲のダークマター候補を網羅的に調べる。 2年目の令和3年度は、公募研究19課題が領域に組み込まれた。加速器実験、アクシオン探査実験、重力波レーザー干渉計を想定した理論研究、可視光・X線・ガンマ線等の多波長データを想定した開発・観測・理論研究、宇宙の構造形成に関するシミュレーション、など非常に多岐にわたる公募研究が採択され、若手研究者、経験のある研究者がバランス良く領域に加わり、研究領域の重層化が整った。 また本年度は、共同研究を促すため二つの大きな国際研究会を開催した。一つは、「理論班」(A01・A02)と「地上実験班」(B01)が中心となり、「軽いダークマター」を主テーマにしたオンライン国際研究会「Very Light Dark Matter 2021」で、2021年9月27日-29日の日程で開催した。参加登録者が184名(外国人研究者が117名)と盛況で活発な議論の場となった。もう一つは、公募研究を含めた領域全体のオンライン国際研究会「What is dark matter? 2022」で、2022年3月29日-30日の日程で開催され、海外からの参加者を含めて約150名が参加し、領域研究成果報告の場を持つことができた。この領域全体の研究会には、総括班評価者も招待され、両日ともランチブレイクの時間を利用した総括班会議を開催し、進捗状況、コロナ禍における課題、また次年度以降の活動方針等についての有意義な議論をもつことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本領域の発足により、異なる研究グループ間の共同研究に成果が出ている。例えば、B06計画研究「CMB」研究代表者小松英一郎らは、宇宙背景放射(CMB)のPlanck衛星の偏光データを解析する新たな手法を開発し、宇宙のパリティ対称性を破る物理の兆候を99.2%の信頼性で検出した。この結果は、初期宇宙の物理を大きく進展させる重要な発見で、その後業界に活発な議論を巻き起こしている。 また、A01計画研究「軽いダークマター」らが、上記のCMBのパリティ対称性の破れの測定結果は、初期宇宙の超軽量アクシオン粒子がダークマターと相互作用する宇宙模型により自然に説明できることを指摘し、Physical Review Lettersに掲載された(Nakagawa, Takahashi & Yamada, Phys. Rev. Lett. 127, 181103, 2021)。更に、領域の若手研究員小幡一平氏は、CMBパリティ対称性の破れの結果と、B01計画研究「レーザー干渉計」が進めるダークマター候補のアクシオン探査実験、つまり全く異なる観測・実験を同時に説明できる、現代宇宙論の二つの大問題であるダークエネルギー、ダークマターを説明する2つのアクシオンの宇宙模型を提唱した (Obata, arXiv:2108.02150)。この成果は、領域の異なる研究を結ぶ、また若手研究者単著の見事な研究成果である。その他にも、領域代表者村山がアクシオン宇宙模型を詳細に調べる研究(Dror, Murayama & Rodd, Phys. Rev. D 103, 115004, 2021)を発表するなど、発足以来、アクシオンダークマターの研究について新たな展開が実現している。発足から約1.5年の間に領域から100編以上の査読論文が発表されており、ダークマターに関する各項目の研究は順調に進んでいると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
宇宙の物質の大部分を占めるダークマターの正体を徹底的に解明するために、サイエンスの柱とし「軽いダークマター」「重いダークマター」「巨視的ダークマター」を立て、約90桁の範囲にも及ぶ広い質量範囲のダークマター候補を網羅的に調べる戦略をとっている。このサイエンステーマを調べるために、研究項目として「理論班」(A01-A03)、「地上実験・宇宙観測班」(B01-B06)、「究極班」(C01-C02)の計画研究を組織している。これに加え新たに公募研究19課題が領域に組み込まれた。加速器実験、アクシオン探査実験、重力波レーザー干渉計を想定した理論研究、可視光・X線・ガンマ線等の多波長データを想定した開発・観測・理論研究、宇宙の構造形成に関するシミュレーション、など非常に多岐にわたる公募研究が、相補的に領域全体に研究課題の重層化を促している。 引き続き、総括班は領域全体の進展をモニターし、研究方針の策定にあたり、本領域が最大の成果を達成するよう計画研究および公募研究の間を調整し、領域を総括する。そのために、定期的な戦略ミーティング(オンライン会議、チームコミュニケーションツール、メール審議など)の場を持ち、領域全体および各計画研究の進捗状況を把握し、問題点の共有を促し、より有効な研究方法を領域内全体で検討する。 3年目を迎える来年度は、計画調書に記載されたように、総括班および全計画研究メンバーに、公募研究者・関連分野研究者・海外関連研究者を加えた国際型研究会を開催し、当該研究領域の中間成果を確認すると共に、海外の関連研究プロジェクトとの交流を図り、領域内研究者、特に若手研究者のキャリアアップの機会を確保していく。
|