Project Area | Conquering cancer through neo-dimensional systems understanding |
Project/Area Number |
15H05912
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Complex systems
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮野 悟 東京大学, 医科学研究所, 教授 (50128104)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
島村 徹平 名古屋大学, 医学系研究科, 特任准教授 (00623943)
白石 友一 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, ユニット長 (70516880)
PARK HEEWON 山口大学, 国際総合科学部, 助教 (70756642)
山口 類 愛知県がんセンター(研究所), システム解析学分野, 分野長 (90380675)
新井田 厚司 東京大学, 医科学研究所, 助教 (00772493)
片山 琴絵 東京大学, 医科学研究所, 助教 (40581195)
張 耀中 東京大学, 医科学研究所, 助教 (60817138)
井元 清哉 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10345027) [Withdrawn]
玉田 嘉紀 東京大学, 情報理工学(系)研究科, 助教 (80435495)
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Project Period (FY) |
2015-06-29 – 2020-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2019)
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Budget Amount *help |
¥180,310,000 (Direct Cost: ¥138,700,000、Indirect Cost: ¥41,610,000)
Fiscal Year 2019: ¥37,050,000 (Direct Cost: ¥28,500,000、Indirect Cost: ¥8,550,000)
Fiscal Year 2018: ¥37,180,000 (Direct Cost: ¥28,600,000、Indirect Cost: ¥8,580,000)
Fiscal Year 2017: ¥37,180,000 (Direct Cost: ¥28,600,000、Indirect Cost: ¥8,580,000)
Fiscal Year 2016: ¥37,180,000 (Direct Cost: ¥28,600,000、Indirect Cost: ¥8,580,000)
Fiscal Year 2015: ¥31,720,000 (Direct Cost: ¥24,400,000、Indirect Cost: ¥7,320,000)
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Keywords | がん / システム生物学 / 統計的モデリング / バイオインフォマティクス / 人工知能 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.ヒトゲノム解析センタースパコン上に実装したゲノムデータ解析パイプラインGenomonに加え、「京」コンピュータ用にVirtual Grid Engineを開発し、さらに大規模なGenomon解析を実施できる体制を整備し、国内外での共同研究で多くの成果に貢献した。新規方法論としては、SAVs (splicing-associated variants)を検出する数理統計的手法を開発し、31のがん腫にわたる8,976サンプルのWES及びRNA シークエンスデータを用い、14,438のSAVsを検出した。検出されたSAVsの約50%が非GT-AG dinucleotidesを破壊するもので、ドナーサイトのイントロン部分の3番目及び5番目を含むものか新たなスプライス部位を作っているものであることが判明した。喫煙がSAVsと強く関連しており、一方で紫外線の影響は少ないことなどの知見が得られた。さらに、変異コールの新たな方法として、与えられた情報ソースに基づいたペアエンドリードに対する分割を導入し、複数の情報ソースを用いて既存の生成モデルを統合し新たなベイズ階層モデル法を構築方法OHVarfinDerを開発した。 2.大規模遺伝子ネットワークの解釈と知識発見のための情報方式の開発を富士通研究所と行い、Deep Tensorの技術を基に、「説明可能なAI」の開発に成功した。これにより、これまで開発してきたNetworkProfilerを始めとした大規模な遺伝子ネットワーク推定結果から、EMTや薬剤耐性に寄与しているメカニズムを一挙に浮かび上がらせる技術が実現する見込みである。研究の詳細は未発表である。これは、ネットワークバイオロジーの観点から他の生命科学研究へ大きな波及効果があると考えている。 3.Watson for Genomicsをゲノムの構造異常情報から評価を行い、現システムの限界を明らかにした。全ゲノムシークエンスが不可欠である症例も判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ゲノムシークエンスのコストが大幅に下がり、同時に、スーパーコンピュータについても発展があり、これまでコスト的に困難であった研究が進展した。本新学術領域では、計算システム生物学とスーパーコンピュータをがん研究に融合することに加え、人工知能システム(IBM Watson for GenomicsやFujitsu Deep Tensorなど)を導入することで、がんのシステム異常の研究、さらには、生命科学研究をこれまでのスケールと次元を超えたところで実現することが特色としている。これまで、その導入により、新たな情報技術の構築と画期的な成果がでている。特に、計画研究・小川誠司教授とはシームレスな研究システムができており、がんの発生や進展過程について、国際共同研究も含め本年度もNatureやNature Microbiology誌をはじめ多くの重要な成果を発表した。人工知能システムWatson for Genomicsについては、研究現場の意見を反映させて方向を明らかにして改良が行われ、その有効性の範囲が明確になった。計画研究・高橋隆教授との共同研究では遺伝子発現データに基づいて推定されたネットワークからの知識発見のために、がん研究では初めてDeepTensorの応用のチャレンジが結実しつつある。ニューラルネットなどをベースとしたAIは、予測制度は高いものの、なぜそのような予測ができているかが隠れておりこれまでブラックボックスと言われていた。本研究では、富士通研究所との共同研究により、グラフ構造データを対象とした「説明可能なAI」の技術ができ、その有効性をがんバイオロジーの分野で検証している。これはWatson for Genomicsは対象とはしておらず、大きな飛躍があったと考えている。このようにシステム癌新次元の方式を探りながら、そしてシステム癌の方法論を昇華させながら多くの成果がえられるとともに、方法論に革新が起こっている。
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Strategy for Future Research Activity |
ゲノムの一次元地図から、時間軸・空間軸に広がるがんのシステム異常の複雑さの本態を捉え、システムがん研究が新たに直面している挑戦的課題に解決法を与え、がん研究を新次元へ転送するためのプラットフォームと方法論をまとめる。 1.がんゲノミクス研究に用いてきたWatson for Genomicsの有効性と限界が確認され、そこから得られた知見に基づき、ゲノムシークエンスデータだけでなく、RNAシークエンス、構造異常、エピゲノムへと発展させていく。また、全ゲノムシークエンス解析が、がんを理解するための第一歩であるというメッセージをアウトリーチ活動により示していく。 2.がんのシステム異常をネットワークの観点から捉える研究を推し進める。このために、遺伝子発現データからソフトウェアアップリケ―ションSiGNによって推定した大規模遺伝子ネットワークの解釈及び知識発見のための情報方式の開発を継続してすすめる。同時に、Watson for Genomicsに加えDeep Tensorのがん研究への様々な応用を合わせて進め、がんの全体象を把握した上で、その細部へと自在にシャトルする術を獲得する。これは、がん研究だけでなくネットワークバイオロジーの観点から他の生命科学研究へ大きな波及効果がある。 3.人工知能技術、とくにディープラーニングをシークエンスデータ解析へ活用する技術開発にチャレンジし、成果をだす。 4.小川教授らの研究(Nature 2019)により、食道がんにおいて、遺伝子変異が乳児期から獲得され、加齢とともに増加して70歳以上では全食道面積の40%~80%が、がん遺伝子の変異をもった細胞で置き換わっていること、がんがなぜ高齢者に生じ、飲酒や喫煙によって促進されるのかなど、がんが生ずる初期のメカニズムの解明と進展を理解するための突破口が創つくられた。こうした発見に基づき、今後ELSI研究との連携をさらに深める。
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