Project Area | Synthesis of Mixed Anion Compounds toward Novel Functionalities |
Project/Area Number |
16H06439
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
荻野 拓 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (70359545)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
陰山 洋 京都大学, 工学研究科, 教授 (40302640)
垣花 眞人 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授(常勤) (50233664)
稲熊 宜之 学習院大学, 理学部, 教授 (00240755)
殷 しゅう 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (40271994)
鱒渕 友治 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (80466440)
本郷 研太 北陸先端科学技術大学院大学, 情報社会基盤研究センター, 准教授 (60405040)
小林 亮 名古屋大学, 未来材料・システム研究所, 准教授 (50613395)
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Project Period (FY) |
2016-06-30 – 2021-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2020)
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Budget Amount *help |
¥304,330,000 (Direct Cost: ¥234,100,000、Indirect Cost: ¥70,230,000)
Fiscal Year 2020: ¥46,540,000 (Direct Cost: ¥35,800,000、Indirect Cost: ¥10,740,000)
Fiscal Year 2019: ¥52,260,000 (Direct Cost: ¥40,200,000、Indirect Cost: ¥12,060,000)
Fiscal Year 2018: ¥69,680,000 (Direct Cost: ¥53,600,000、Indirect Cost: ¥16,080,000)
Fiscal Year 2017: ¥66,690,000 (Direct Cost: ¥51,300,000、Indirect Cost: ¥15,390,000)
Fiscal Year 2016: ¥69,160,000 (Direct Cost: ¥53,200,000、Indirect Cost: ¥15,960,000)
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Keywords | 複合アニオン化合物 / 合成 / 結晶工学 / 新物質 / 複合アニオン / セラミックス / 電子構造 / 結晶成長 / 計算物理 / 高圧合成 / トポケミカル反応 / ソルボサーマル反応 / 電子状態計算 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複合アニオン化合物という新たな物質系に対し、系統的な新物質探索および新合成手法の開発を行うことで、この無機化学の新たな学術領域の基礎学理を構築し、創エネ・省エネに貢献する革新的な新材料の創成を目的としている。本年度は、酸水素化物の特異性の追求、窒化物新合成法の活用、様々な物質系での系統的な物質探索を行い、これら新物質の光触媒や蛍光体、誘電体といった機能開拓を目指した。また合成・解析の様々な局面での計算科学の活用を試みた。外殻軌道がs軌道からなる唯一のアニオンであるヒドリドの特異性に着目した研究では、酸水素化物LnHOが、圧力下でヒドリドの配位数が減少するという、従来の常識では考えられない変化を示すことが明らかになった。また本研究では固体窒素源を用いる酸窒化物の新規合成法を開発したが、この手法が様々な物質系に適用できること、簡便なだけでなく粒径の制御など実用面でも優れた特徴を有することがわかった。新物質開発では、6H型酸水素化物ペロブスカイト、ハロゲンやニクトゲンなどの非常に大きなアニオンを含む複合アニオン化合物、Pbなど非対称カチオンを含む複合アニオン化合物の探索、トポケミカル法による層状化合物の開発などを行った。またこれまで複合アニオンのアニオンとしては主に単体イオンのみだったが、今年度は(CN2)2+、(OH)-といったポリアニオンを含む複合アニオンの開発も活発に行い、これらポリアニオンの特異性に着目した機能探索も行った。計算科学の活用もこれまで以上に押し進め、特に本研究の主題の一つであったアニオン配列の解明にDFT計算が非常に有効であることを見出した。公募研究各グループとの連携も積極的に行った。これらの成果により、2019年度は研究計画A01単体で60件以上の招待・基調講演を行い、100報近い論文を出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、複合アニオン化合物の新物質の合成、アニオン自由度の制御と、それによる複合アニオン化合物合成の基礎学理構築、革新的機能の実現を目標としている。研究実績の概要にある通り、本研究では昨年度までに見出した固体窒素源を用いた酸窒化物新物質合成法の活用や、酸水素化物の特異性に着目した研究により成果を挙げるとともに、引き続き様々な物質系での新物質開発及び機能開拓を行った。酸素・フッ素の複合化によるバンドギャップ減少や、酸塩化物における価電子バンドの逆転など当初予想していなかった成果も実現しており、これらも今後の複合アニオン化合物の学術領域の発展と新機能材料開発に有用な成果である。また今年度は、これまで以上に計算科学の合成への活用を行い、複数アニオン配列状態の解析と、元素置換や薄膜の基板応力によるそれらの制御にも取り組んだほか、ポリアニオン系の新規化合物の探索など当初計画以上の内容にも取り組んだ。またこれらの成果により、今年度はA01単体で100報近い論文を出版したほか、これまでの4年間の成果が学術業界に認知され、メンバーが60件以上の招待講演・基調講演を行った。多数の国際共同研究も進行中で、これにより欧米などでも複合アニオン化合物の合成研究が活発化している。これらは研究開始当初に設定した、「物質設計自由度に立脚した、テーラーメイドでの物質合成」「真に社会に求められている革新的な材料開発」という課題の実現に向け、着実な進捗を達成するとともに、いくつかの分野では想定以上の成果を挙げたことを示すものである。上記より、本研究は複合アニオン化合物合成の基礎学理構築及び革新的新材料創成に向け、当初の想定以上に進展していると判断できる。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は本研究課題の最終年度となることから、これまでに培ってきた班内・班間連携、複合アニオン化合物合成に関する知見、及び本研究課題や複合アニオン新学術全体で開発した研究手法をフルに活用し、「物質設計自由度に立脚した、テーラーメイドでの物質合成」「真に社会に求められている革新的な材料開発」という研究目標の実現に総力を挙げて取り組む。コロナ禍で出張など直接の交流が難しい部分もあるが、Web会議の活用などで効率的に研究を進める。 系統的な物質探索による新規化合物の開拓は、複合アニオン化合物の特異性の追求と機能性材料の開発に当たって引き続き最重要課題である。これまでに進めてきた各系の物質探索に加え、公募研究グループとも連携し、前倒しで探索進めてきた非酸化物系、三種アニオン混合系、錯体、ポリアニオン系化合物なども含め物質探索を加速する。アニオン自由度の活用に当たっては、元素の組み合わせや高圧・基板による効果、トポケミカル反応による構造・価数制御といったこれまで得られた知見に加え、A02との緊密な協力により、解析技術による構造・アニオン配列の可視化と、計算科学の援用による配列予測と生成因子の解明を行い、統一的な理解を深める。これにより、従来より更に高次のアニオン組成・配位の制御を実現する。機能材料の開発に当たっては、新合成法とアニオン制御手法をフル活用するほか、A03で得られた光触媒や蛍光体、機能発現に関する基礎学理を元に、材料探索を進める。これらにより、複合アニオン化合物合成の基礎学理の構築と社会への貢献という本研究の最終目標の実現に務める。
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