Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
19H05806
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
身内 賢太朗 神戸大学, 理学研究科, 准教授 (80362440)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中 竜大 東邦大学, 理学部, 講師 (00608888)
小川 洋 日本大学, 理工学部, 助手 (20374910)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥152,100,000 (Direct Cost: ¥117,000,000、Indirect Cost: ¥35,100,000)
Fiscal Year 2022: ¥33,930,000 (Direct Cost: ¥26,100,000、Indirect Cost: ¥7,830,000)
Fiscal Year 2021: ¥21,970,000 (Direct Cost: ¥16,900,000、Indirect Cost: ¥5,070,000)
Fiscal Year 2020: ¥30,420,000 (Direct Cost: ¥23,400,000、Indirect Cost: ¥7,020,000)
Fiscal Year 2019: ¥25,480,000 (Direct Cost: ¥19,600,000、Indirect Cost: ¥5,880,000)
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Keywords | 暗黒物質 / 地下実験 / 低放射能技術 / ガス飛跡検出器 / 原子核乾板 |
Outline of Research at the Start |
暗黒物質は宇宙の歴史において銀河や星の形成に重要な役割を果たしており、その正体解明は 現在の素粒子・宇宙物理にまたがる重要な課題である。本研究では太陽系の銀河内での運動に起因した「到来方向に偏りを持つ」という暗黒物質に特徴的な信号により、方向に感度を持った検出器を用いて暗黒物質の直接検出の確実な証拠を得ることを目指した研究を推進する。方向に感度を持つ暗黒物質探索実験で世界をリードするNEWAGE実験の感度を向上し、これまでより1桁良い感度での暗黒物質探索を行う。また、検出器の大質量化が可能な原子核乾板の開発も進め、原子核乾板を検出器として用いるNEWdm実験による初の暗黒物質探索実験を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
NEWAGE実験はガス検出器(μ-PIC)を用いた方向に感度を持つ暗黒物質を行う。このために、放射性不純物の含有量の少ないμ-PIC(低BGμ-PIC)の開発を代表者の身内が行う。2020年度には、2019年度に選択した新規材料を用いた30cm角低BGμ-PICを製作した。 また、2013年から2017年までの435日分の観測データを用いて、原子核反跳の三次元飛跡に前後判定を合わせた解析を行った結果の出版(PTEP 2020)、低バックグラウンド化に寄与する陰イオンTPC開発の論文出版なども行った(JINST2020)。 ガス検出器の深刻なBGである放射性同位体ラドン低減のために、分担者の小川が、吸着剤(モレキュラーシーブス, MS)を用いたラドン除去システムを開発する。2020年度には、2019年度製作のものよりも低BGなMSの製作のため、材料の選択を行った。放射性不純物の混入の小さいシリカ材料やカルシウム材料を用いた試作など行った。同時に、清浄なMS製造工程の確立や、ラドンBG・吸着の測定システムの構築といった進展があった。英国シェフィールド大との共著論文がJINST誌への掲載が決定した。 NEWSdm 実験は、固体検出器(原子核乾板)を用いた方向に感度を持つ暗黒物質を行う。このために読み取り装置の高感度化・高速化を分担者の中が行う。2020年度には、事象解析の高度化を行い、30keVの炭素イオンに対しても方向感度を持つことを実証した。 (PTEP (2020))また、産業技術総合研究所における中性子照射実験によってCNO反跳核信号の方向感度検出を実証した。これらの技術を基に、地上で赤道儀を用いた暗黒物質探索実験を行い、暗黒物質質量10GeV/c2領域での方向感度解析を実証した。また、電子事象などの背景事象の理解を進め、今後の低バックグラウンド化に向けた指針を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
NEWAGEの低BG検出器開発に関して1年前倒しで計画が進捗しており、低BG MS開発、NEWS-dmも予定通りの進捗しているため、当初の計画以上の進展を得ていると言える。 NEWAGEでは2020年度には、2019年度に選択した材料を用いて30cm角低BGμ-PICを製作した。当初は、2020年度には10㎝角のμ-PICの製作を予定していたが、製作側との綿密な打ち合わせにより、30cm角の大型器を製作することによるリスクを低減できると判断、予定を1年前倒しして、30cm角のμ-PICの製作をおこなった。2020年度の動作確認では、良好な結果を得ている。これらの開発は、身内が中心となって、μ-PICの製作を行う大日本印刷株式会社および、樹脂材料の提供先として信越化学工業株式会社の協力のもとで行われている。 放射性同位体ラドンバックグラウンド低減のための吸着剤(モレキュラーシーブス, MS)を用いたラドン除去システムを開発に関しては、2020年度までに低BGなシリカ材料やカルシウム材料を用いた低BGなMS試作に成功した。MS製造のための実験室にクリーンブースを設置、清浄な製造工程を構築した。日本大学において、ラドンBG・吸着の測定システムをほぼ完成させることができ、2021年度より、本格的なラドンBG・吸着測定試験が可能となった。これらのMS製作は、小川が中心となってユニオン昭和(株)と共同で行っている。 NEWSdm 実験に関しては、2020年度までに、スキャニングシステムの高速化と並行し、解析の効率化等を進め、低バックグラウンド地下実験に向けた準備を進めた。また、新たにスキャニングシステムを東邦大学に立ち上げ、運用を開始した。また、次期実験に向けた低バックグランド実験実現のためのデバイス試験を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
予定通り進捗している。今後も研究代表者、分担者間の連絡を密にして、研究を進めて行く。特に、イタリアでの測定を予定しているNEW-dmに関しては、渡航が予定通り行かない場合には、イタリア現地で活動している共同研究者と密に連携し、実験体制の構築を進めていく。必要に応じて国内での測定を検討し、予定通りの成果を達成する。
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