Project Area | Unraveling the History of the Universe and Matter Evolution with Underground Physics |
Project/Area Number |
19H05807
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Science and Engineering
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
関谷 洋之 東京大学, 宇宙線研究所, 准教授 (90402768)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂口 綾 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (00526254)
竹内 康雄 神戸大学, 理学研究科, 教授 (60272522)
鈴木 良一 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 計量標準総合センター, 首席研究員 (80357300)
高久 雄一 筑波大学, 数理物質系, 研究員 (40715497)
伊藤 慎太郎 岡山大学, 自然科学研究科, 特別研究員(PD) (40780549)
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Project Period (FY) |
2019-06-28 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥218,530,000 (Direct Cost: ¥168,100,000、Indirect Cost: ¥50,430,000)
Fiscal Year 2023: ¥47,840,000 (Direct Cost: ¥36,800,000、Indirect Cost: ¥11,040,000)
Fiscal Year 2022: ¥51,220,000 (Direct Cost: ¥39,400,000、Indirect Cost: ¥11,820,000)
Fiscal Year 2021: ¥49,920,000 (Direct Cost: ¥38,400,000、Indirect Cost: ¥11,520,000)
Fiscal Year 2020: ¥35,620,000 (Direct Cost: ¥27,400,000、Indirect Cost: ¥8,220,000)
Fiscal Year 2019: ¥33,930,000 (Direct Cost: ¥26,100,000、Indirect Cost: ¥7,830,000)
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Keywords | 宇宙史 / 星形成 / 超新星爆発 / 低放射能技術 / ニュートリノ |
Outline of Research at the Start |
スーパーカミオカンデの純水中にガドリニウムをこれまで以上に導入することにより、電子ニュートリノの反物質である反電子ニュートリノへの感度を飛躍的に高める。それにより、過去の超新星爆発で発せられた反電子ニュートリノを世界で初検出することを目指す。超新星爆発は、宇宙の進化の過程において、重元素を作り出す主要なプロセスの一つであると考えられており、超新星爆発の歴史にせまることで、現在の宇宙の姿や生命の起源についての根源的な問いにアプローチする。
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Outline of Annual Research Achievements |
過去の宇宙の進化の中で起こった超新星爆発によって生成され現在の宇宙に蓄積されている「超新星背景ニュートリノ」を直接観測するために、スーパーカミオカンデ(SK)検出器にガドリニウム(Gd)を導入することで感度向上を図っている。2022年6月1日から7月4日までの35日間で、硫酸ガドリニウム八水和物を26トンをSKへ追加導入した。これは2020年に導入したものより低放射性不純物のものであり、改良したガドリニウム溶解・前処理水システムを使用し、きわめて安定に導入を進めることができた。また導入直前に納入された硫酸ガドリニウム中のラジウムを短期間で評価する手法を確立し、実際に適用することで要求された不純物量以下を達成していることを確認できた。以上により、スーパーカミオカンデは、5万トンの純水に対してGdの濃度として重量比0.033%となった。導入時はタンク内の光の透過率は低下したが、その後水システムによる循環純化をすすめ、85m程度の透過率まで回復した。ガドリニウム導入による中性子捕獲効率については、宇宙線ミューオンによる中性子生成事象やAm/Be中性子線源によるデータを用いて検証を行った。中性子捕獲までの時定数は検出器の場所によらず予想通りの~60μsecが得られ、~75%の中性子捕獲効率がタンク内で一様に実現されていることを確認できた。また、2020年から開始した0.01%Gd濃度での超新星背景ニュートリノ探索の解析を進め、Gd導入以前の10年以上の観測データに匹敵する感度を達成していることを確認した。 エネルギー較正に向けては、開発を進める電子加速器の加速管に1 MW以上のマイクロ波を供給し電子加速の準備を進めるとともに、往復加速して必要なエネルギー実現するため、ビーム折返し用電磁石を整備した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
0.03%濃度ガドリニウムの導入自体を予定より早く完了させることができ、いち早く超新星背景ニュートリノへの感度向上を達成した。また、すでに開始していた0.01%濃度ガドリニウムでの超新星背景ニュートリノ探索解析も予定以上の進展があり、すでに論文の執筆に取り組んでいる。ガドリニウム導入に必要であったラジウムの分離および測定法も早まった経過に合わせて 確立させることができ、硫酸ガドリニウム試料に適用した。 また空気中のラドン除去、電子加速器開発については予定通り進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
0.01%ガドリニウム濃度での超新星背景ニュートリノの解析には、まず従来のCutを用いた手法で論文化を目指しているが、ニューラルネットワークを用いた手法の改善を進め、中性子事象同定の効率を上げ、尚且つバックグラウンドの混入率を下げて、感度向上を目指す。 0.03%ガドリニウム濃度での観測データについても、電子加速器で~20MeVのエネルギー較正作業を行い、検出器のエネルギースケールを決定すると同時場所依存の系統誤差を見積もり、解析を進める。そしてニューラルネットワークを用いた探索手法を適用し、本領域の最後までに世界最高感度での超新星背景ニュートリノ観測結果をまとめる。 また確立したガドリニウムの評価に適用した化学分離法についての論文もまとめる。空気中のラドン除去の改善にも引き続き取り組む。
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