Project Area | Non-equilibrium-state molecular movies and their applications |
Project/Area Number |
20H05453
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research on Innovative Areas (Research in a proposed research area)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Complex systems
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宮下 治 国立研究開発法人理化学研究所, 計算科学研究センター, 上級研究員 (10620528)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 光男 筑波大学, 計算科学研究センター, 助教 (00593550)
篠田 恵子 統計数理研究所, ものづくりデータ科学研究センター, 特任助教 (80646951)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥83,200,000 (Direct Cost: ¥64,000,000、Indirect Cost: ¥19,200,000)
Fiscal Year 2023: ¥20,800,000 (Direct Cost: ¥16,000,000、Indirect Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2022: ¥20,800,000 (Direct Cost: ¥16,000,000、Indirect Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2021: ¥20,800,000 (Direct Cost: ¥16,000,000、Indirect Cost: ¥4,800,000)
Fiscal Year 2020: ¥20,800,000 (Direct Cost: ¥16,000,000、Indirect Cost: ¥4,800,000)
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Keywords | 量子古典混合計算 / 化学反応解析 / シミュレーション / ハイブリッドアプローチ / タンパク質 / 構造解析 |
Outline of Research at the Start |
時分割シリアルフェムト秒結晶構造解析(SFX)法による「高速分子動画」は、原子分解能で数10フェムト秒からミリ秒までの構造変化を捉える手法である。一方でSFXのデータは、多数のタンパク質分子の平均構造であり、また、電子状態などの詳細を知ることは困難である。本研究では量子古典混合計算による複雑な化学反応解析や、高精度力場を用いた大規模長時間シミュレーション、実験データとシミュレーションを融合させるハイブリッドアプローチなどの多角的な理論研究アプローチを活用することにより、反応の時間・空間・エネルギーに関する詳細な情報を得ることで、タンパク質の動的構造変化とその化学反応機構を解き明かす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は量子古典混合計算による化学反応解析や高精度力場を用いた大規模シミュレーション、実験データとシミュレーションを融合させるハイブリッドアプローチなどの多角的な理論・計算研究アプローチを用いて、高速分子動画実験データを活用しながらタンパク質の動的構造変化と化学反応機構を解き明かすことを目的とする。 開発した時間発展前後の電子密度の差を反映する差フーリエマップをもとに、MDシミュレーションを用いることで反応後の構造モデルを導き出す手法を実験データに応用するためのツールの開発と応用を行った。さらに、反応に伴う構造変化のモデリングを散乱強度実験データから直接行う手法の研究を行った。他に、XFEL散乱画像から粗視化モデルによる構造サンプリングを行うことでタンパク質の大きな構造変化を推定する手法の開発を行った。 光捕集タンパクC-フィコシアニンの励起エネルギー移動について理論解析を進め、エネルギー移動を支配する要素を明確化する理論展開を行なった。銅含有アミン酸化酵素については、還元的半反応過程に対するストップドフロー法でのSFX構造解析に対応する理論解析を進め、トパキノンがセミキノンラジカル状態となり大きな構造変化を起こす反応機構や理由について理論解明した。リゾチームに固定したMnCO3錯体については、光励起に伴うリガンド脱離の全素反応過程をクラスターモデルで理論解析した。 バクテリオロドプシンに対する古細菌膜と生体モデル膜の違いが及ぼす影響について解析を行い、エステル型である生体モデル膜がより強くバクテリオロドプシンとの相互作用しヘリックス構造に影響を及ぼすことが示唆された。また励起後760ns秒後の構造のMDシミュレーションを実施した。新たに大腸菌膜の脂質4種類の力場を作成し、大腸菌膜モデル、乳酸菌膜モデル、植物の膜モデルを構築した。膜に埋め込んだケイ酸チャネルLsi1のMDシミュレーションを実施した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
QM/MM解析については計画以上の連携研究によるタンパク質の反応の理論解析が進んでおり、MDシミュレーションによるバクテリオロドプシンの運動解析や構造モデリング手法の開発も実験グループとの共同研究を含めた計画通りの研究が進んでいるから。
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Strategy for Future Research Activity |
計画に基づいて、領域内での連携を推進しつつ今後の研究を進めていく。 1) 時分割SFXにより得られる実験データからMDシミュレーションを活用して動的構造情報を得るための手法の高度化を進める。開発を進める電子密度差マップから実空間でのモデルフィッティングを行う手法の実験データへの応用を進める。密度差マップがない時分割SFXデータについてもモデリングが行えるようX線散乱データから直接モデリングを行う手法を開発する。また、結晶環境にあるタンパク質の運動をシミュレーションする手法を用いて実験との比較をより精密化し、分子ダイナミクスも考慮したモデリングを行う手法開発を目指す。 2) SFX構造解析で得られた構造変化をもとに、エネルギー及び反応経路についてのQM/MM法による理論解析を実施することで、蛋白質内化学反応機構の解明を深める。具体的には(I)銅含有アミン酸化酵素のトパキノン生成反応機構、(II)C―ピコシアニン及び光合成複合体の光エネルギー移動過程、(III)リゾチームに結合したMn錯体の光分解反応、(IV)光化学系II酸素発生中心でのS状態遷移での構造変化について研究をまとめ、論文化する。これまで研究を積み重ねてきた構造探索アルゴリズム及びエネルギー移動解析理論を応用することで、新たな研究領域に対しても積極的に挑戦する。 3) バクテリオロドプシンの光反応と構造変化の解析のためにSFXで得られている光励起後のK状態、及びL状態の結晶構造から、プロトン移動に関わる数残基のアミノのプロトン化の有無を考慮したシステムを数種類作成し、それらのMDシミュレーションを実施して構造変化の解析を行う。また、ケイ酸チャネルLsi1の基質輸送機構の解析を行う。ケイ酸と亜砒酸の力場を完成させ、Lsi1-ケイ酸、Lsi1-亜砒酸のMDシミュレーションを実施し、輸送機構を比較することにより、ケイ酸選択性Lsi1変異体候補の創出を目指す。
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