Project Area | A New Archaeology Initiative to Elucidate the Formation Process of Chinese Civilization |
Project/Area Number |
20H05819
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (I)
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
菊地 大樹 金沢大学, 古代文明・文化資源学研究所, 客員教授 (00612433)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
江田 真毅 北海道大学, 総合博物館, 教授 (60452546)
丸山 真史 東海大学, 人文学部, 准教授 (00566961)
新井 才二 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 助教 (40815099)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥82,160,000 (Direct Cost: ¥63,200,000、Indirect Cost: ¥18,960,000)
Fiscal Year 2024: ¥14,950,000 (Direct Cost: ¥11,500,000、Indirect Cost: ¥3,450,000)
Fiscal Year 2023: ¥18,850,000 (Direct Cost: ¥14,500,000、Indirect Cost: ¥4,350,000)
Fiscal Year 2022: ¥18,330,000 (Direct Cost: ¥14,100,000、Indirect Cost: ¥4,230,000)
Fiscal Year 2021: ¥21,060,000 (Direct Cost: ¥16,200,000、Indirect Cost: ¥4,860,000)
Fiscal Year 2020: ¥8,970,000 (Direct Cost: ¥6,900,000、Indirect Cost: ¥2,070,000)
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Keywords | 動物考古学 / 家畜 / 家禽 / 牧畜文化 / ユーラシア |
Outline of Research at the Start |
中国文明成立のなかで形成された「礼制」を維持する祭儀システムは礎であり、そこで供犠となる六畜は祭儀の要であった。こうした新たなシステムの確立は、紀元前3千年紀後半の新石器時代晩期において、中央アジアから伝播したと考えられている牧畜文化の受容が引き金となり、中国各地で勃興していた地方文化の諸要素が黄河中流域へと収斂していく過程で達成された。本研究では、中国で独自に発展した牧畜文化が中国文明形成のなかでどのような役割を果たしたか、そして、中国文明が周辺世界へと波及・拡大するなかでどのように変容し、地方化していったかを動物考古学から明らかにし、新たなユーラシア家畜文化史のシナリオを提示する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、中国文明形成に作用した中国新石器時代晩期の諸地方文化要素の融合(内的因子)と中央アジアで成立した牧畜文化の受容(外的因子)という二つの大きな歴史動態、および周辺地域への波及を動物考古学的研究から導き出すことで、新たなユーラシア家畜文化史の提示を目指す。コロナ禍により制限されていた海外の移動制限が緩和されたことで、可能な範囲で実地調査を実施した。海外での実地調査は、中国(寧夏回族自治区)、キルギス(ナリン地域)、ウズベキスタン(サマルカンド)で実施し、遺跡出土動物骨の分析を通じて、牧畜家畜出現期から牧畜文化受容過程に関する新知見を得た。特にウズベキスタンでは、当該地域にある数少ない初期農耕村落の資料であり、発掘を進めているダルベルジン遺跡出土資料とのよい比較材料になる。また、国内調査では、奈良県唐古・鍵遺跡にて、イノシシ/ブタの下顎懸架に注目し、大部分がメスであり、成獣と若獣が混在する一括資料であることを確認するとともに、布留遺跡では、古墳時代中期から急速にウマとウシが普及した状況を明らかにした。それらの成果の一部は、『家畜の考古学』(雄山閣)として出版した。このほか、国内外の鳥類骨標本を収蔵している研究施設を訪れ、骨格標本の観察・計測をおこなうとともに、中国や韓国の遺跡から出土する資料との比較のために、国内遺跡から出土した鳥類骨の分析を実施した。さらに、遺跡出土資料との比較のため、実験施設や動物園などに働きかけて動物の遺体を入手して骨格標本を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実地に赴いて実践的な調査をすることが可能になったことから、国内外の調査を進めることができ、中央アジアにおけるヒツジ/ヤギやウシといった牧畜家畜の導入過程を具体的に提示するデータを取得するとともに、中国における初期牧畜文化の利用形態についても遺跡出土動物骨の分析に着手している。また、大陸とのかかわりが深い、弥生時代と古墳時代の中核的な遺跡における動物利用について、コロナ禍の調査・研究環境を見極めながら、実践的なデータの集積ができた。こうした成果の一部は著書(『家畜の考古学』雄山閣)として出版する一方、シンポジウムや講座を開催して広く成果を発信するなど、各機関と連携しながら積極的なアウトリーチ活動も実施できている。研究計画を調整しながら着実に成果を出せていることから、計画研究はおおむね予定通りに遂行されている。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の研究機関とは継続的に連絡を取り合い、現地研究機関がCOVID-19の影響から脱却し、スムーズな調査受け入れが可能となり次第、順次実地調査を進める。また、同時に昨年度に引き続き、過去に現地の考古学者が発掘した資料の整理を実施する。中央アジアについては、動物考古学的研究がほぼ存在していない地域を対象としているので、基礎データの作成を重点的に進める。キルギスでは、古代の埋葬馬およびカンデベ遺跡の動物骨の整理を行う予定である。中国においては、寧夏回族自治区の調査を引き続き進めながら、周辺遺跡の研究成果も収集しつつ、牧畜家畜の導入過程について分析を進める。日本における家畜の受容と普及について明らかになりつつあり、中国における家畜利用との比較で、中国からの影響を浮き彫りにしていく。その際、家畜伝播の経路として有力視される朝鮮半島における家畜利用についても情報収集した上で、資料調査を実施する。そして、それらの成果を国内外の学会などで積極的に発表する。また、拡充を進めている現生動物の比較骨標本の作成やアウトリーチ活動にも努めていく。
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