Project Area | Condensed Conjugation Molecular Physics and Chemistry: Revisiting "Electronic Conjugation" Leading to Innovative Physical Properties of Molecular Materials |
Project/Area Number |
20H05863
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
忍久保 洋 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (50281100)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 大光 立命館大学, 生命科学部, 教授 (80388115)
畠山 琢次 京都大学, 理学研究科, 教授 (90432319)
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Project Period (FY) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥168,220,000 (Direct Cost: ¥129,400,000、Indirect Cost: ¥38,820,000)
Fiscal Year 2022: ¥36,920,000 (Direct Cost: ¥28,400,000、Indirect Cost: ¥8,520,000)
Fiscal Year 2021: ¥31,980,000 (Direct Cost: ¥24,600,000、Indirect Cost: ¥7,380,000)
Fiscal Year 2020: ¥26,000,000 (Direct Cost: ¥20,000,000、Indirect Cost: ¥6,000,000)
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Keywords | 反芳香族 / 積層 / 共役 / π電子系 / 三次元芳香族性 / 近接化 / ヘテロ原子 / イオン間相互作用 / 反芳香族性 / 3次元芳香族性 / π電子系イオン / 3次元芳香族性 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、π電子系の超近接積層を可能にする新規反芳香族系分子群を創製する。 反芳香族π電子系であるノルコロ ールが、結晶中でグラファイトの層間距離より破格に短い距離で積層することを見いだしている。2つのπ電子系がさらに近接し高密度積層する状態を構築できれば、2分子間で分子軌道が重なり合い、分子間電子共役(=高密度共役)が達成されるはずである。このような物質群について、A02・A03・A04班との連携により高密度共役電子系の本質を解明し、π共役を超える新しい共役概念(“X”-conjugation)を提唱する。
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Outline of Annual Research Achievements |
これまでに反芳香族性ノルコロールニッケル錯体が3.0 Aに迫る近接した距離で積層することを見いだしているが、ニッケル錯体以外においては積層構造は確認されていなかった。そこで、本年度はノルコロールの中心金属として白金を選択し、ノルコロール白金錯体を合成した。合成したノルコロール白金錯体の単結晶を作成し、その構造解析を行なった。その結果、ノルコロール白金錯体は3つの結晶多形を与えたが、そのうち2つにおいてノルコロール白金錯体が近接して積層することが明らかになった。積層によって誘起される三次元芳香族性はノルコロールニッケル錯体に比べて低下していた。興味深いことに、隣接するノルコロール中心の白金間には相互作用が明確に認められた。このような白金ー白金相互作用が積層距離の近接化に寄与しているものと考えられる。また、ノルコロールニッケル錯体の電子密度を低下させるため周辺置換基として電子求引基を導入することを検討した。その結果、2つのノルコロールの会合定数が格段に向上することを見いだした。このノルコロールニッケル錯体はπ平面どうしが完全に対面積層した二量体構造を形成することを見いだした。 さらに、種々の金属オキサポルフィリニウムカチオンと平面πアニオンであるペンタシアノシクロペンタジエニドのイオンペアを作成した。オキサポルフィリニウムカチオンの中心金属によって様々な結晶構造をとり、その違いをエネルギー分割法や静電ポテンシャルの違いから解析した。その結果、イオンペアの分子間相互作用には、静電相互作用だけでなく分散力が重要であることを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
電子求引基の導入によってノルコロール間の相互作用を強化できることがわかった。これは、π電子系のさらなる超近接積層状態を実現するにあたって有用な知見であり、本領域が目指す高密度共役を実現し観測するための物質設計に活用できる。
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Strategy for Future Research Activity |
ノルコロールニッケル錯体や白金錯体のπ電子系が超近接積層した状態を実現できることを見いだした。そこで、分子間空隙 における電子の非局在化をA03との密接な連携によって精密なX線回折測定によって観測することを目指す。 また,ホウ素を中心に有する反芳香族化合物の合成を検討する。これによりホウ素の電子求引性に起因した静電反発抑制により,更なる近接積層を目指す。さらに、荷電反芳香族性π電子系を設計・合成し、静電力を付与したイオンペアによる、相反するπ電子系間での高密度共役の実現をめざす。
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