Project Area | Establishing data descriptive science and its cross-disciplinary applications |
Project/Area Number |
22H05107
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Research Category |
Grant-in-Aid for Transformative Research Areas (A)
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Allocation Type | Single-year Grants |
Review Section |
Transformative Research Areas, Section (II)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平岡 裕章 京都大学, 高等研究院, 教授 (10432709)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石井 豊 九州大学, 数理学研究院, 教授 (20304727)
池 祐一 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 准教授 (50850400)
落合 啓之 九州大学, マス・フォア・インダストリ研究所, 教授 (90214163)
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Project Period (FY) |
2022-06-16 – 2027-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2024)
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Budget Amount *help |
¥160,550,000 (Direct Cost: ¥123,500,000、Indirect Cost: ¥37,050,000)
Fiscal Year 2024: ¥34,060,000 (Direct Cost: ¥26,200,000、Indirect Cost: ¥7,860,000)
Fiscal Year 2023: ¥33,410,000 (Direct Cost: ¥25,700,000、Indirect Cost: ¥7,710,000)
Fiscal Year 2022: ¥24,050,000 (Direct Cost: ¥18,500,000、Indirect Cost: ¥5,550,000)
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Keywords | パーシステントホモロジー / D加群 / 層理論 / 高次元可視化 / 表現論 / 結晶基底 / 力学系 / マグニチュードホモロジー / バーチャルリアリティ / 代数解析 |
Outline of Research at the Start |
現代社会に氾濫する高次元データは,その構造を直接「見る」ことができない.低次元空間への射影や断面を用いる従来法からは,構造の直感的理解を得ることは難しく,さらには幾何・トポロジー構造が潰されたものになる問題点もある.そこで本研究では,高次元データを直感的に知覚できるデータ記述子の開発を目標に据えた,以下の3テーマを実施する. テーマ1:バーチャルリアリティ(VR)を用いたインタラクティブな高次元可視化の数理 テーマ2:パーシステントホモロジーの代数解析・代数幾何的研究とその応用 テーマ3:マグニチュードホモロジーの自然言語処理・オミックスデータ解析への応用
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Outline of Annual Research Achievements |
本計画班では高次元データを直感的に知覚できるデータ記述子の開発を目標に据えた3テーマを実施している。それぞれのテーマごとに実績概要をまとめる。 テーマ1(バーチャル・リアリティ(VR)を用いたインタラクティブな高次元可視化の数理):今年度は材料科学班の木村と共同して我々が開発を進めている高次元可視化ツールを、バッテリーなどの材料科学における鉱物反応現象の特異性の可視化を行なう研究に応用した。また4次元空間の可視化の数学的研究としてはThomas Richards と石井が中心となり複素2次多項式族のホースシュー領域におけるモノドロミー問題を考察した。 テーマ2(パーシステントホモロジーの代数解析・代数幾何的研究とその応用):期間前半にD加群と代数群に関する先行研究の調査を行ったのち、柏原らによって導入された結晶理論のマルチパラメータ・パーシステントホモロジーへの応用について研究を実施した。一般のkパラメータ格子上のパーシステントホモロジーについては結晶構造が導入できることが証明できた。層の導来圏に入るインターリービング距離の完備性,およびラグランジュコボルディズム距離との間の不等式を証明し,それらをシンプレクティック幾何学に応用した.また,点群のパーシステントホモロジーを計算する際のフィルトレーションを学習する構造を開発した. テーマ3(マグニチュードホモロジーの自然言語処理・オミックスデータ解析への応用):機械学習で用いられているグラフ埋め込み法ではトポロジカルな構造が正確に保たれないことをいくつかの数値実験によって指摘し、それを改善する方法としてTopological node2vecを提案した。その際、最適輸送理論をパーシステント図に適用するために必要となるトポロジカル正則化に関するいくつかの定理を証明することに成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
これまでの研究進捗状況は極めて順調であり、当初の予定を超える成果が得られると同時に、予想していない新たな方向性を見出すことにも成功している。 テーマ1:木村と城戸らによって得られた材料科学に現れる反応現象データを、五十嵐が中心となって virtual reality を用いて高次元可視化した。これによって、今までとは全く異なる視点からデータ特性の理解が可能になった。高次元可視化の数学的研究では2次多項式族のホースシュー領域において「擬モノドロミー」の概念を定式化し、その作用がマンデルブロー集合の特定の双曲成分によって記述できることを主張した。 テーマ2:従来の結晶理論ではpreprojective代数にたいしてその表現空間の既約成分が結晶基底を与える形で定式化されていた。我々のアイディアはこの既約分解を直既約分解より粗い分解論としてマルチパラメータ・パーシステントホモロジーの分解論として応用することである。そのための最初のステップとして可換関係式で定まる表現空間上に同様の結晶基底が導入できることが明らかになった。またEdelsbrunner氏によって提案されている6packsとcompressed multiplicityについての強弱関係を明らかにした。層理論に関しては、1次元的な層の導来インターリービング距離に関する理解が順調に進んでいると考えられる.また,機械学習モデルにパーシステントホモロジーの構造を組み込む方針でも成果が得られた. テーマ3:Topological node2vecに関しては理論、アルゴリズム、実装に関して完成し現在論文を投稿中である。
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Strategy for Future Research Activity |
テーマ1:材料科学についての共同研究では、時間軸とエネルギー軸を同時に取り込んだ可視化を行って、破壊現象のトリガー・サイトの特定に繋げたい。ただそのためには改めて現象データを一から採取し直す必要があり、その計画について議論を進める予定である。高次元可視化の数学的研究については、上述の主張の完全な数学的証明を完成させることを目指す。 テーマ2:マルチパラメータ・パーシステントホモロジーの結晶構造に関しては、結晶の存在証明の細部を詰めることに取り掛かる。さらに既約成分分解に関する安定性定理、および具体的な分解の計算方法についても検討を開始する。また多次元パーシステンス加群と層の関わりについて研究を行う。特に、クイバー表現によるアプローチと比べて層を用いるアプローチの優位な部分を明らかにしたい。 テーマ3:Topological node2vecに関する今回の提案手法ではグラフの埋め込みについて扱っていたが、同様のアイディアで単体複体版が構成できると考えている。この方向性で理論の定式化に努める。さらに生物学のエピゲノムに関する構造情報としてHi-Cデータが近年注目されているが、このデータはゲノムの小領域間の距離行列を定めているとみなすことができる。よってグラフ埋め込みによって3次元構造を再構成することが原理的には可能である。そこで我々が開発したtopological node2vecをHi-Cデータに適用することで、エピゲノムと遺伝子発現に関する制御関係を空間構造から明らかにする研究を実施する。
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