Budget Amount *help |
¥2,200,000 (Direct Cost: ¥2,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
現在,金鉱石からの金回収にはシアン溶液を用いる青化法が用いられているが,環境保全と防災の観点からより安全な試薬を用いる金の回収プロセスを開発することが望まれている。本研究では,チオ硫酸イオンとアンモニアを含む溶液中で鉱石中の金を錯体としてリーチングする方法について検討した。昨年度は天然鉱石を用いたリーチング実験で金溶出に及ぼす諸要因の影響を調べ,アンモニアとチオ硫酸イオンが共存する場合に金の溶出が最も効果的に行われることを見出した。本年度は,このアンモニアとチオ硫酸イオンの協同作用のメカニズムをより詳細に調べるため,金電極を用いた電気化学実験を行った。 チオ硫酸ナトリウムとアンモニアが共存する溶液中で金電極のサイクリックボルタンメトリーを行ったところ,3つのアノードピークA1,A2,A3が0.1V,0.3Vおよび0.6V vs. SHEに観測された。これらのピークは,金電極の替わり炭素電極を使って測定したサイクリックボルタモグラムには現われず,アンモニア単味溶液中の金電極のサイクリックボルタモグラムにも認めらないことから,金とチオ硫酸イオンの双方に関連するものと推定された。しかし,チオ硫酸ナトリウム単味溶液中で測定した金電極のサイクリックボルタグラムにはA1とA3のみが現われ,A2は現われなかった。このことから,アノードピークA2は,アンモニアとチオ硫酸の双方が共存する場合にのみ生じることが確認され,リーチング実験で認められたアンモニアとチオ硫酸イオンの協同作用は,これらの化学種の共存により金のアノード溶解反応が促進されるために生じることが明らかになった。
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