Project/Area Number |
00F00149
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
Plant nutrition/Soil science
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
逸見 彰男 愛媛大学, 農学部, 教授
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
ERNI Johan 愛媛大学, 農学部, 外国人特別研究員
JOHAN E.
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,100,000 (Direct Cost: ¥2,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
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Keywords | アフェロン / リン酸吸着 / ブレンステッド酸性 / ルイス酸性 / 物理的変化 / 分散・凝集 / ZPC |
Research Abstract |
Erni Johanは本研究室において修士・博士課程を通じアロフェンへのリン酸吸着及びそれがアロフェンの表面化学的性質に及ぼす影響について調べた。今回、JSPS特別研究員としての機会を得、さらに研究を発展させるべく、リン酸吸着によるアロフェンの物理的性質(分散・凝集挙動)の変化、及び乾燥という物理的変化が表面特性に及ぼす影響を探求した。 試料として、Si/Al比が異なる3つのアロフェンを用いた。これは、アロフェンのリン酸吸着挙動、物理的性質などが、Si/Al比により異なることが分かっているからである。すなわち、Si/Al比が大きいものから順に、KnP (0.99)、IP (0.82)、KyP (0.67)である。これら3種のアロフェン試料は直径0.2μm以下の画分を集めたもので、イモゴライト、火山ガラスなどの不純物を含まない。 粘土の分散・凝集はZPC(荷電零点)と密接な関係がある。KnP、IP及びKyPのZPCはそれぞれ4.8、5.4、6.2であった。アロフェンの正電荷は中空球欠陥部のAl-OH基に、負電荷は中空球内部のSi-OH基に由来する。したがって、上記ZPCの値は、Si/Al比が大きいアロフェンほど、そのSi-OH基が解離しやすくAl-OH基がプロトン化し難いことを示している。凝集pHはそれぞれ4.5-6.0、6.0-7.0及び6.5-8.5であった。ZPCよりも凝集pHが高いのは、負電荷(Si-O-)が内部に位置しているからである。 このような3種のアロフェン試料にリン酸を吸着させた場合、いずれの場合にも、凝集pHは低下した。すなわち、KnP、IP及びKyPそれぞれ4.0-5.0、5.0-6.0及び5.0-6.5であった。これは、リン酸がAl-OH基に吸着し正電荷の発生源を減少させるとともに、近傍のSI-OH基の解離を促進したためである。このような、リン酸吸着に伴う分散・凝集挙動の変化については、これまで報告されていない。 次に、土壌が乾燥という物理的変化を受けた場合の、アロフェン構造中の官能基(Si-OH及びAl-OH)の性質の変化を調べた。これには、理論的手法である分子軌道法を用いた。アロフェンの中空球の壁にはいくつかの空孔が存在し、ここにAl-OH及びAl-OH2基がある。このうちAl-OH2基は吸着水分子に相当する。この水分子を除去し、乾燥時のモデルとした。実験的に、そのような場合、アロフェンの表面酸性が増大することが分かっている。計算の結果、乾燥に伴いアロフェン構造の電子受容性(ルイス酸性)が増大すること、特に空孔のAl原子のルイス酸性が増大すること、また、近傍のSi-OH基のブレンステッド酸性が増大することが分かった。これらの知見は初めてのものであり、実験科学的手法では得ることができない。 上述の研究成果は3件の学会発表および1件の論文(投稿中)で公開した。
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