バングラデシュ仏教のシンクレティズム -仏教習俗におけるヒンドゥー教の神話と儀礼
Project/Area Number |
00F00256
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 外国 |
Research Field |
印度哲学(含仏教学)
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Host Researcher |
安藤 充 愛知学院大学, 文学部, 教授
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Foreign Research Fellow |
BARUA Dilip Kumar 愛知学院大学, 大学院・文学研究科, 外国人特別研究員
BARUA D. K.
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥800,000 (Direct Cost: ¥800,000)
Fiscal Year 2002: ¥300,000 (Direct Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2001: ¥500,000 (Direct Cost: ¥500,000)
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Keywords | バングラデシュ / 仏教 / シンクレティズム / ヒンドゥー教 / 密教 / アラカン仏教 |
Research Abstract |
最終年度にあたり、これまでの現地調査データの分析をおこなったのち、文献研究の成果と現地調査の成果を総合し、最終的に成果報告書にまとめた。データ分析においては、都市部仏教徒の習俗と儀礼に見られるシンクレティズムの特徴を分析し、シンクレティズムの地域的特性とその要因を総合的に考察した。 報告書で論じた総合的な研究成果の要点を以下にまとめる。 1.7世紀からのインド・パーラ王朝の影響で隆盛をきわめたバングラデシュ仏教は、インド自体で進行したタントラ密教の影響を受けてヒンドゥー色が濃くなっていく。12世紀以降はイスラーム勢力の伸張により、仏教徒はチッタゴン丘陵地帯へと追いやられる。イギリス支配下ではビルマのアラカン仏教が勢力を伸ばし、特に上座仏教への回帰の傾向が強まることになり、都市部に展開した寺院においてもバルア仏教徒らに対して、上座仏教にもとづく在家の戒律や儀礼を遵守することを強調している。 2.今日、バングラデシュ仏教の僧や教団は、タントラ的な儀礼や習俗を廃して、純粋に上座仏教の教義に従うように存家信者に説き、篤く仏法や僧侶を敬う信者側もその教えに忠実であろうとする。しかし現実には、ヒンドゥー的な現世利益を仏教に託す傾向も強く、仏教寺院や僧に対する篤信と平行的に、現地化したヒンドゥーの神をあがめ、その利益にあずかろうとする宗教行動が一般的である。このほか、人生折々の儀式においては、ヒンドゥーのみならず、バングラ(=ベンガル)民族特有の要素や、仏教とともにもたらされたビルマ族の文化的要素も絡み合っており、これらが、バングラデシュ仏教徒の習俗や儀礼に広がりと奥行きを与えている。
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Report
(1 results)
Research Products
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