Budget Amount *help |
¥1,100,000 (Direct Cost: ¥1,100,000)
Fiscal Year 2002: ¥200,000 (Direct Cost: ¥200,000)
Fiscal Year 2001: ¥900,000 (Direct Cost: ¥900,000)
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Research Abstract |
H-IIロケットLE-7Aエンジンの燃焼試験において液体水素ターボポンプに軸回転周波数の約0.5倍の周波数の振動が発生した.その後の志村らの実験によりその振動は,ターボポンプインデューサに発生するキャビテーション不安定が原因であり,その不安定現象は軸回転と同方向に伝播するもの(伝播速度比約0.5)であることが明らかとなった. 本研究では,その新型の不安定現象の発生原因を特定することを目的として2次元翼列の理論解析を行った.解析方法は,渡邉ら,堀口らがインデューサに発生する旋回キャビテーションなどの研究に用いた特異点法を応用したものを用いた. 旋回キャビテーション,キャビテーションサージといったこれまで観察されてきたキャビテーション不安定は,性能曲線の勾配とは無関係に発生する.そのため,キャビティの発達による揚程低下が考慮できないキャビティ後縁閉鎖型のモデルで十分であった.しかしながら,本研究対象の不安定現象はキャビテーション数が低く,揚程が低下したような場合に発生する.そのため,揚程低下が予測できるキャビティの後流部分を考慮したモデルを構築し,解析を行った. まず,本研究で構築したキャビティ後流モデルを用いて定常解析を行った.その結果,実験で見られるような,キャビテーション数の低下に伴い揚程が低下する現象を予測できた.次に,微小振動を仮定した安定解析を行ったところ,これまでのモデルでは得られなかった伝播速度比が約0.5程度の不安定解が得られた.その不安定解の特徴を調べるために様々な条件での詳細な解析を行った.その結果,性能曲線の勾配がキャビティの発達により右上がりとなる領域で,主にその木安定解が得られた. このような解析により,実機エンジンや実験で発生した伝播速度比約0.5の新型の不安定現象は,キャビティの発達による揚程低下によって生じる性能曲線の右上がり勾配が原因であることを明らかにした.
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