Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
今年度は,SiO_2-Al_2O_3-CaO系の炭素還元窒化法によるCa-αサイアロンナノボールの生成メカニズムについて解析した.さらに,合成したサイアロンナノボール粉末を原料として緻密体及び多孔体の作製を行うとともに,この焼結体の諸特性について評価し,本研究を総括した. Ca-αサイアロンナノボールの生成メカニズムを解明するために,特性の異なる各種SiO_2粉末を原料として合成を行い,得られた生成物に対して高分解能電子顕微鏡による分析を行った.その結果,SiO_2粉末の結晶状態や粒子形状に関わらず,還元窒化反応の初期段階においてSi-Al-Ca-O系の液相からなる中実球状粒子が形成し,更なる窒化反応によって中空球状のCa-αサイアロンが生成することがわかった.また,中実球状から中空球状粒子へと変化する因子は,Si-Al-Ca-O系液相からサイアロンへ変化する際の密度増加,及び酸素Oと窒素Nとの置換による質量減少の2つの反応が推察された.この結果は,2002年10月にオーストラリア・パースで行われたオーストラリアセラミックス協会主催のAUSTCERAM2002で口頭発表を行い,高い評価を得た.また,この知見については,現在論文化を行っている. 合成したサイアロンナノボールを解砕し,得られたナノ粉末を放電プラズマ焼結法により焼成を行った結果,低温かつ短時間で緻密な焼結体が作製できた.この焼結体の微構造は,焼結に伴う粒成長は極微であり,ナノサイズの粒子から構成されていることが判明した.さらに,粒界においてガラス相はほとんど存在しないことがわかった.作製されたCa-αサイアロンナノ焼結体の特性は,Si_3N_4焼結体より破壊靭性は低い値にとどまったが,高強度,高硬度,優れた耐食性を有していることが明らかとなった. また,サイアロンナノボールを解砕せずに放電プラズマ焼結法により多孔体の作製を行ったところ,得られた多孔体の気孔率は,焼成の保持時間の増加とともに減少し,焼成条件を変化させることで,気孔率を制御した多孔体が作製できることが分かつた.作製されたCa-αサイアロン多孔体の機械的及び化学的特性は,アルミナなどの一般的な多孔体と比較しても優れていることがわかった.これらの結果については,「Key Engineering Materials(2003年)」及び「Ceramic Transactions(2003年)」で公表した.
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