Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本研究では、太陽コロナにおける浮上磁場について、主に理論的見地及びスーパーコンピュータを用いた大規模数値シミュレーションによりそれらの現象の解明を目指して研究を進めてきた。太陽コロナは、ほぼ完全電離したプラズマで、そこにはプラズマβ〜0.1という強い磁場がある。そこで起こる現象を理解するためには、電磁流体力学(MHD)の理論が不可欠となる。実際に起きている現象を理論的に解析するには非線形性が重要であり、そのためには大型計算機による数値シミュレーションが極めて有効な手段となる。具体的には、本年度は、浮上磁場とコロナ磁場との磁気リコネクションによる彩層蒸発、X線ジェット発生メカニズムについて研究を行った。活動領域における浮上磁場、あるいは次々と磁場が浮上してきているような場所では、すでにコロナに存在する磁場と浮上してきた磁場が、磁気リコネクション過程を通じて、相互作用を起こす。その際大量の磁気エネルギーがプラズマの熱エネルギーに変換される。この際発生した強く加熱されたプラズマが、彩層蒸発現象を引き起こし、X線プラズマジェットやマイクロフレアなどが発生する、と考えられているが今のところこの過程を理論的に統一的に扱った例はない。我々はこれまでに、浮上磁場-磁気リコネクション-彩層蒸発過程を通して数値シミュレーションで扱うことにより、浮上磁場とコロナ磁場との相互作用の統一的な理解を目指して研究を進めてきた。浮上磁場や磁気リコネクションのタイムスケールと、彩層蒸発を引き起こす熱伝導過程は大きくタイムスケールの異なる現象であり、そこにこの現象を理論的に統一的に扱う事の困難さがあるわけだが、我々はこれまでにこれらを統一的に扱う数値シミュレーションコードを完成させ、実際に数値シミュレーションにより彩層蒸発ジェットを捉える事が出来た。また、ジェット密度と、コロナ磁場強度・コロナ温度等のパラメータとの関係を定量的に導いた。(主な成果:宮腰ら、日本天文学会2002年秋期年会、日本天文学会2003年春期年会、Symposium on Plasma Merging and Magnetic Reconnection2002、論文投稿中(ApJ))
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