Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
今年度調査を行った大分県畜産試験場(大分県直入郡久住町)内の採草用牧草地では、外来牧草の播種される人工草地と半自然草原(以下野草地)が隣接しており、野草地は8月に年に一度の刈り取りを行っている草地(以下刈り取り野草地)および3月に年一回の火入れを行っている草地(以下火入れ野草地)に分けられ、また二つの人工草地は、いずれも5月・7月・9月に刈り取りを行う3回刈り利用となっている。4月から7月までの調査の結果、人工草地ではアカネズミ・ハタネズミ・カヤネズミが捕獲され、火入れ野草地ではハタネズミ・アカネズミが捕獲された。これに対し、刈り取り野草地では、カヤネズミのみが捕獲された。火入れ野草地および人工草地では、アカネズミおよびハタネズミの密度が非常に高くカヤネズミに対してトラップが機能せず、カヤネズミの調査が思うように進まなかった。それにもかかわらず、刈り取り野草地においてカヤネズミおよび他の二種の食痕がほとんど見つからなかったことから、今回調査した草地においては、カヤネズミは野草地ではなく基本的に人工草地を利用することが明らかとなった。このことから、カヤネズミは草の成長の遅い野草地よりも葉の長い外来牧草が長い期間繁茂する人工草地を長期利用すると考えられ、生態学的には評価の低い人工草地が野生哺乳類の生息地として野草地よりもむしろ高い機能を持つ場合もあることが示唆された。また、今回の調査地のように高密度にアカネズミおよびハタネズミの生息するに場所では、新たな調査方法を考案する必要がある。2002年8月に韓国ソウルで開催された国際生態学会INTECOLにおいて、これまでの研究成果を発表した。
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