Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本年度は,ネパール王国の政情不安を鑑みて,野外調査は行わず,主に前年度までに採取した岩石の薄片作成・記載および,化石の抽出等を行った.また,大型化石の検討から,カトマンドゥ南方フルチョキ地域に分布するテーチス堆積物の最上部は,古生界オルドビス系であることが明らかとなった.この地層は,これまで古生界シルル系またはデボン系とされてきたが,本研究の結果から,それよりも5000万年以上古いものであることが判明した.この結果と野外調査によって明らかとなった岩石層序を用いて,北方のヒマラヤ地域に分布するテーチス堆積物との対比を行った.これらの成果の一部は,「レッサーヒマラヤ変成岩ナップ上のテーチス堆積物からのオルドビス紀三葉虫化石の発見」と題して,「月刊地球」誌に発表した. 一方,前年度から引き続いて,大陸の集合や分離,ヒマラヤの上昇などのテクトニックなイベントと,生物相の変化との関連を解明するために,南大洋で掘削された古第三系(始新統〜漸新統)の海洋底ボーリングコア試料を例として,放散虫群集の変遷と海洋古環境変化の検討を行った.その結果,南極周辺の寒冷化に呼応して,放散虫群集は,中期始新世の後期,始新世/漸新世境界付近および前期/後期漸新世境界付近において,多様度の低下および群集の交替などが起きたことが明らかとなった.この時期の地球環境の寒冷化は,南極周極流の形成と,南極氷床の形成および消長に関連しており,特に,始新世/漸新世境界付近の寒冷化は,オーストラリア大陸と南極大陸が完全に分離した時期と一致し,前期/後期漸新世境界付近では,南アメリカ大陸と南極大陸が分離した時期と一致している.このことから,放散虫化石群集解析は,海洋古環境変化を仲立ちとして,テクトニックイベントのタイミングやプロセス解明の有効なツールとなりうることがわかった.
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