Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
相互作用として中心力だけでなく,テンソル力ならびにスピン・軌道力を含み,かつΛN-ΣNチャネル結合をあらわに含んだ,いわゆる現実的相互作用を用いて、s-殻ラムダハイパー核である_Λ^3H,_Λ^4H,_Λ^4He,_Λ^4H^*,_Λ^4He^*,および_Λ^5Heの第一原理計算を行い,それぞれの束縛状態の解を求めた。特に,5体問題の解は,上に示したような複雑な相互作用のもとで解かれた解としては,世界で初めてのものである。 こうして得られた束縛状態の波動関数およびその状態のもとでのハミルトニアンの期待値の詳細な分析を行った。3体,4体系については,これまでに他の研究者によってなされてきた研究結果と良く一致することが確かめられた。また、5体問題を解いて得られた結果の詳細な分析から,_Λ^5Heの結合のメカニズムが,これまで予想されてきた単純な描像とは大きく異なり,それ自身がきわめて興味深いものであることをはじめて明らかにした。 本研究の目的のひとつは,直接的な実験情報のきわめて限られたラムダ-核子相互作用についての情報を軽いラムダハイパー核の結合エネルギーの実験データから引き出すことである。ラムダ-核子系は,比較的小さなエネルギー(約80MeV)でシグマ-核子系に粒子転換することができ,特に原子核中では,その粒子転換の相互作用が重要になることが従来から指摘されてきた。 _Λ^5Heは,単純な見方をすれば^4He+Λの2体系である。^4He自身の結合エネルギーが約28MeVであり,_Λ^5He中のΛの結合エネルギーが約3MeVであることを考えれば、この2体描像はきわめて自然であり,事実これまでは_Λ^5Heの構造はそのように考えられてきた。しかしながら,ハイペロン-核子相互作用の特徴のひとつはΛN-ΣN結合であり,それは^4He+Λ系である_Λ^5Heにおいても例外ではないことをはじめて明らかにした。すなわち,高い運動量成分を持ったハイペロンの波動関数が^4Heの内部にまで入り込み(Λ粒子には核子間に働くパウリ原理は働かない),結果として^4Heの内部構造は真空のそれからは大きく変化することになる。このようなコア原子核(^4He)の組換え(rearrangement)効果が,_Λ^5Heの場合にさえ極めて大きく,かつ重要であることをはじめて示した。
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