大阪産野生マウス由来近交系MOL-SKIR系統がもつ突然変異形質の解析
Project/Area Number |
00J00932
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Laboratory animal science
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Research Institution | Jikei University School of Medicine (2002) Nagoya University (2001) Osaka Prefecture University (2000) |
Research Fellow |
和田 あづみ 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Keywords | マウス / 近交系 / 突然変異 / 疾患モデル / 生物学的機能モデル |
Research Abstract |
MOL-SKIR系統は、系統成立を論文に公表する際に、Mouse Genome Database Nomenclature Committeeの系統命名部門を担当するDr. Michael Festingの提案に従い、公式系統名称をMSKRと改めている。 MSKR系統では全個体が例外なく、糖尿を伴わないケトン陽性尿を排泄することが系統成立初期から確認されていた。そこで本年度、この現象の詳細を解明するため、MSKRマウスの血液生化学検査を行った。11週齢雌6匹の6-7時間絶食後平均血糖値、血中脂質、血中総コレステロール、血中HDLコレステロールはそれぞれ186.2mg/dl、35.8mg/dl、71.5mg/dl、42.7mg/dl、11週齢雄7匹では242.0mg/dl、46.1mg/dl、58.2mg/dl、35.7mg/dlであった。文献情報によると18-22時間絶食12週齢ICR雌マウスの平均血糖値、血中脂質、血中総コレステロールは、それぞれ139.9mg/dl、194.6mg/dl、101.6mg/dl、同条件雄ではそれぞれ171.4mg/dl、116.4mg/dl、131.7mg/dlである。その他系統の測定値もほぼ類似し、正常とされている近交系マウスで非絶食時においても血糖値が200mg/dlを越える系統は観察されない。すなわち、MSKRマウスは通常のラボラトリーマウスに比較して、血中脂質関連が低値であり、血糖値が顕著な高値であることが明らかになった。この高血糖状態の特性を明らかにするために、8-10週齢雄MSKRマウスを用いて経口ブドウ糖負荷試験(2g/kg)を行ったところ、ブドウ糖負荷前10-16時間絶食後平均血糖値が106.7mg/dl、ブドウ糖投与10分後265.3mg/dl、30分後422.6mg/dl、60分後436.0mg/dl、120分後195.6mg/dlとなる異常な高血糖曲線を示すこと、すなわち糖処理能力が低いことが示唆された。また、検査前絶食時間においても、通常ラボラトリーマウスと同様の18-20時間絶食を負荷すると、MSKRマウスでは飢餓によると思われる衰弱状態に陥り、ネズミの負担を考慮すると絶食時間は8時間程度が限界であることも明らかになった。さらに、本年度、免疫学的な特性の調査を行ったところ、IL4およびIL5産生能が極端に低いことも観察された。 MSKR系統は通常に飼育している限りにおいては、野生集団より直接近交系化されたため通常ラボラトリーマウスよりは小型で活動的であるが、肥満傾向の認められない繁殖能力の優れた健康なマウスである。しかし、上述の結果のように、様々な角度から生物学的基礎特性を調査すると、多様な異常測定数値を示す。すなわち、本研究において突然変異形質を解析しているMSKR系統は、そもそも多くの基礎代謝が通常ラボラトリーマウスと異なり、かつ、MSKRマウスは通常マウスと交配可能であることからも、単なる疾患モデルに留まらず生物学的機能モデルとしても、今後、多くの分野で生命現象を解明するために有用な近交系であることが明らかになった。
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Report
(1 results)
Research Products
(4 results)
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[Publications] Kushiro, N., Miyashita, N., Wada, A., Suzuki, H., Shiroishi, T., Moriwaki, K.: "Pulmonary adenoma susceptibility in F1 progeny between A/Wy and wild-derived strains of mice"Experimental Animals. 51. 294 (2002)
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[Publications] Watanabe, N., Tomimori, Y., Saito, K., Miura, K., Wada, A., Tsudzuki, M., Fukuda, Y.: "Chymase inhibitor improves dermatitis in NC/Nga mice"Int Arch Allergy Immunol. 128. 229-234 (2002)