Project/Area Number |
00J01276
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Chemical pharmacy
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒井 緑 大阪大学, 産業科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,500,000 (Direct Cost: ¥1,500,000)
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Keywords | スピロ / イソオキサゾリン / 触媒的不斉合成 / ワッカー反応 / パラジウム / ヘック反応 / タンデム反応 |
Research Abstract |
我々が開発した初のイソオキサゾリン不斉配位子であるSpiro bis(isoxazoline) ligands (SPRIXs)は、Pd触媒によるアルケニルアルコールを基質とするWacker型環化反応や不斉タンデム環化反応、さらに触媒的不斉アミノカルボニル化反応を可能にする。これらの反応は我々が検討した範囲では既存の配位子を用いても進行しない。このSPRIXsの特殊な能力を解明すべく、スピロ骨格を持たないビスイソオキサゾリン配位子、ビナフチル骨格を持つビスイソオキサゾリン配位子、単座のイソオキサゾリン配位子をデザイン・合成し、反応性の比較検討を行った。その結果、触媒的不斉タンデム環化反応、触媒的不斉アミノカルボニル化反応は、既存のビスオキサゾリン配位子では進行しないが、それと同じ骨格を有するイソオキサゾリン配位子では進行し、イソオキサゾリン部位がこれらの反応において重要な役割を有することを明らかとした。また、スピロ骨格が不斉誘導に有効に働くことも見いだした。 また、SPRIXs-Pd(II)触媒が可能にした不斉オキシパラデーションにより生じるアルキルPd中間体を経由すれば、分子間オレフィンと反応により、新たなタンデム型不斉反応を開発できると考え、タンデム型Heck反応の開発を行った。アルケニルアルコールを基質とし、メチルビニルケトン存在下、塩化メチレン中で反応を行ったところ、SPRIX-Pd(II)触媒はタンデム反応による生成物を2種のジアステレオマーとして与えた。その不斉収率はイソプロピル置換基を有するSPRIXを用いた場合に最も高く、最高59%eeであった。Heck反応の基質としてスチレン誘導体を用いても同様の反応性、不斉収率でタンデム体を得た。本反応は既存の不斉配位子を用いても反応が進行しないか、低い不斉収率であり、本例もまたイソオキサゾリン不斉配位子の有用性を示すものである。ジアステレオ選択性や立体選択性はまだ不十分であるものの、本例は初めての触媒的不斉オキシパラデーションを経由するタンデム型Heck反応である。
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