Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
水素終端Si(001)に超熱酸素原子ビーム(平均並進エネルギー5eV)の照射を行い、基板温度300℃以下の低基板温度でも5nm以上の膜厚の酸化膜が成長することが明らかにした。Siの酸化速度、飽和酸化膜厚は原子状酸素の並進運動エネルギー、フラックスに依存することがわかった。並進運動エネルギーに関しては酸化初期段階に、フラックスに関しては後期段階において特にその依存性が確認された。超熱酸素原子ビームのもつ並進エネルギーが衝突によって表面に付与される割合は約80%以上であることを明らかにした。入射並進エネルギーが5eVであることを考えると、表面に付与されるエネルギーは非常に高い値であり、このことによって酸化種の反応・拡散が促進されたと思われる。さらに原子状酸素ビームを照射した際のSiO_2成長曲線から、Siの酸化は大別して2段階の拡散プロセスで進行することが示され、これは原子状酸素の照射により表面温度が上昇することで、膜厚が小さい領域において拡散が促進され、膜厚が大きくなるにつれてその効果が小さくなったためと考えられる。またAFMを用いたモフォロジー観察により、原子状酸素ビームで形成されたSi酸化膜の表面(R_a=0.04nm)および界面(R_a=0.2nm)が極めて平坦に保たれていることを確認した。これにより超熱酸素原子ビームによって作製されたSi酸化膜は界面準位の少ない良好な電気特性をもつSiデバイスに適した特性であると推測される。
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