Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
いくつかのアミロイド形成蛋白質について、赤血球などを溶血することがこれまでに報告されている。そこで、上記の方法で調整したアミロイド線維とアミロイド形成前の天然のウシ・βラクトグロブリンが、溶血活性を示すかについて調べた。その結果、いずれの構造状態も赤血球を溶血する活性を持たないことがわかった。現在、線維形成過程で作られる、前駆体状態で溶血活性が示されるかについて、解析中である。このような実験と平行して、ウシ・βラクトグロブリンのアミロイド線維形成に関わるアミノ酸配列について以下のようにして、調べた。まず、アミロイド線維をトリプシンにより、限定分解し、それでも不溶性分画に存在するペプチド領域を遠心により回収した。この不溶性分画(後にアミロイド線維を形成していることを電子顕微鏡観察により確認した)を、ジメチルスルフォキシドにより可溶化し、アセトニトリルに溶媒置換した後、質量分析計により、そのペプチド断片の質量を解析した。その結果、主に、天然構造上では、N末端側のAストランドを形成している領域周辺と思われる、断片が線維中に残っていることが示唆された。このアミノ酸領域が単独でもアミロイド形成能を保持しているか否かについて、調べるため、その領域に相当するペプチドを名古屋工業大学の田中俊樹教授に合成していただいた。このペプチドを上記の条件で、数カ月、保持してやることで、アミロイド線維を形成することが、チオフラビンTアッセイ、電子顕微鏡観察により、明らかになった。さらに、このようにして調整したペプチドのアミロイド線維を核として添加することで、βラクトグロブリン本体のアミロイド形成反応が促進されることが、わかった。この結果は、Aストランド領域が、βラクトグロブリンのアミロイド線維形成に重要な役割を果たしていることを示唆している。現在、これらの結果について、論文を執筆中である。
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