Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
脊椎動物の神経板において、終脳、間脳、中脳、菱脳、脊髄への分化が前後軸に沿って起こることにより中枢神経系が形づくられる。原腸胚期において、非中軸中・内胚葉の誘導作用によって神経板にその後方としての性質が与えられることが、ゼブラフィッシュ胚を用いた移植実験で示された。神経板に後方としての性質を与える分子の候補としてはWnt、bFGF、レチノイン酸などがあるが、いずれも単独ではゼブラフィッシュの前方神経板に後方の性質を誘導しない。そこで、神経系の後方の性質を与えることに関わる分子群を明らかにする目的で、原腸胚期において中胚葉を含めた後方の組織で特異的に発現される遺伝子群を探索した。このために、中期原腸胚の前方・後方組織でサブトラクションされた、後方組織に特異的なcDNAライブラリーを用いた。ここからRNAプローブを作製し、各々のクローンの中期原腸胚での発現パターンをin situハイブリダイゼーション法により調べた。420個のクローンをスクリーニングし、76個が後方組織に限局した発現を示した。これらは新規の分泌性因子1個、膜蛋白質1個を含む32個の異なる遺伝子に相当していた。単離した遺伝子群のうち、非中軸中・内胚葉からのシグナルによって発現が誘導される遺伝子があるかどうかを調べた。非中軸中・内胚葉の前方神経板への移植を行い、中期原腸胚期において移植片の周りに発現が誘導される7個の遺伝子を同定した。非中軸中・内胚葉からのシグナルに応答して、後方神経板でこれらの遺伝子の発現が誘導されることで後方神経系へと特異化される可能性がある。今回単離した類似した発現領域を示す遺伝子群は、神経系後方の誘導と領域牲の確立に関わるシグナル経路の新規構成分子である可能性がある。
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