Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度の研究では、金属フォトニック結晶の新たな作製方法として汎用カラープリンターを用いた方法の提案と、Si_3N_4球で構成された誘電体球アレイフォトニック結晶の透過特性について研究を行なった。後者の研究成果は該当分野の研究者から高く評価され、同時期に二つのVirtual Journalに掲載された。本年度の研究ではまず、汎用カラープリンターを用いて作製した一次元金属フォトニック結晶構造を持つワイヤーグリッドと二次元金属フォトニック結晶構造を持つメッシュフィルターの透過特性をテラヘルツ時間領域分光法で詳細に測定した。研究の結果、従来の方法よりも安価で簡単な手法により、市販の光学素子とほぼ同等の特性を持つ光学素子を作製出来ることを見出した。本研究成果は応用物理学会において講演奨励賞を受賞した。次に、Si_3N_4球アレイフォトニック結晶と同じ球径と配列構造を持つテフロン球アレイフォトニック結晶の透過特性をテラヘルツ時間領域分光法で測定した。テフロン(n〜1.44)はSi_3N_4(n〜2.99)に比べて小さな屈折率を持っている。透過電磁波波形においてはSi_3N_4球アレイフォトニック結晶の場合にのみ、一旦フォトニック結晶に閉じ込められたモードが徐々に染み出ている様子を時間領域で測定することに初めて成功した。また、両者のフォトニックバンド構造を比較したところ、テフロン球アレイフォトニック結晶の場合には、単一テフロン球における局在モードの特徴は見られず、その透過特性はテフロンスラブの導波モードにより近似的に理解出来ることが分かった。一方、Si_3N_4球アレイフォトニック結晶の場合には、単一Si_3N_4球における局在モードに起因した、分散の小さなフォトニックバンドが形成されていることが分かった。これらの結果は、誘電体球から成るフォトニック結晶において、屈折率によって透過特性が質的に変化することを実験的に明確に示した最初の例であり、光領域でのフォトニック結晶の開発に重要な知見を与えるものと考えられる。
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