Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
N-アセチルグルコサミン転移酵素-V (GnT-V)は癌転移と直接関係している糖転移酵素である。しかし、その産物であるβ1-6鎖が基質糖タンパク質に対してどのような働きをもつのか明らかではなかった。申請者は、GnT-Vを過剰発現させた胃癌細胞が糖タンパク質である特定のセリンプロテアーゼの分泌量を増強することを発見し、癌転移との関連を明らかにした。まず遺伝子導入により、恒久的にGnT-Vを高発現するヒト胃癌細胞MKN45を作製した。ヌードマウスを用いて、GnT-V活性が有意に癌転移を促進することを確認した。その一因としてGnT-Vを高発現するMKN45細胞では、培養上清に顕著なセリンプロテアーゼの放出を確認した。ウエスタンブロット及び免疫沈降により、このプロテアーゼはII型の膜貫通型セリンプロテアーゼのマトリプターゼと同定した。さらにレクチンブロット解析により糖鎖構造を検討すると、GnT-Vの産物であるβ1-6鎖の付加がみられた。パルスチェイス及びウエスタンブロット法によりβ1-6鎖修飾を受けたマトリプターゼは分解耐性になることを明らかにした。さらに糖鎖構造をレクチンブロットで検討すると、GnT-V過剰発現癌細胞より精製したマトリプターゼにはβ1-6鎖の付加がみられた。また自己分解を検討すると、β1-6鎖をもたないマトリプターゼは24時間後には大部分が分解されたが、β1-6鎖をもつマトリプターゼはほとんど分解されなかった。またトリプシンに対しては分解の抑制がみられたが、他のプロテアーゼに関して差は認められなかった。合成蛍光基質を用いた結果、そのプロテアーゼ活性に大きな差はみられなかった。以上の結果より、β1-6鎖はマトリプターゼの活性には影響を与えず、その安定性を増大されることが明らかになった。
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