Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
昨年度までに、AMPA受容体の活性化によって生じる転写因子CREBのリン酸化には、Ca^<2+>結合蛋白の一つであるcalbindin-D28kの核移行が必要であることを明らかにしてきた。アデノウィルスベクターを用いて「Ca^<2+>透過型AMPA受容体(GluR2Q)」および「calbindin-D28k、CB-GFP(核移行能欠失型calbindin-D28k)またはGFP(コントロール)」を各種細胞株へ共発現させ、AMPA/cyclothiazide刺激によって生じる細胞内Ca^<2+>動態をfura-2イメージング法により解析した。GFP共発現群と比較して、calbindin-D28k共発現群で有意にAMPA受容体を介した細胞内へのCa^<2+>流入量が増加することを見出した。この増加はCB-GFP共発現群においても観察されたことから、細胞質に存在するcalbindin-D28kによる効果であることが示唆された。このCa^<2+>流入量の増加は機能受容体数の増加に起因するとの仮説を立て、AMPA受容体の細胞外領域認識抗体を用いた免疫染色および細胞膜表面蛋白のビオチン標識法を用いたウェスタンブロットにより、細胞膜表面上に存在するAMPA受容体の定量を試みた。calbindin-D28kまたはCB-GFPの共発現によりCa^<2+>透過型AMPA受容体の細胞膜表面上における発現が有意に増加することを見出した。一方、Ca^<2+>非透過型AMPA受容体の発現には影響を及ぼさなかった。以上の結果から、calbindin-D28kは核における転写因子活性化の制御に加え、細胞質においては受容体の細胞内動態を規定する機能を有することが明らかとなった。そしてこのデュアル機能により、calbindin-D28kはAMPA受容体を介した情報伝達に寄与している可能性が示唆された。
All Other
All Publications (3 results)