Budget Amount *help |
¥3,000,000 (Direct Cost: ¥3,000,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Research Abstract |
初期の顔認識に関する事象関連電位(Event-related potentials ; ERP)研究において,その多くが対象としてきたのは顔の検出(顔であるかないか)に関わる知覚的な情報処理過程についてであった.近年の動向として,顔の持つ様々な意味情報の認知的処理を反映するような電位成分の検討がなされてきている.本研究では,ERP指標を用いた顔面表情認知の内的処理過程に関する検討を行った. 刺激には文脈情報を統制した純粋な顔面表情の意味情報として顔線画図形を使用した.顔面表情認知事態として,6基本表情から3表情の顔線画図形を組として異なる頻度で提示する表情弁別課題を設定した.顔面表情認知に関わる意味情報として知られる「快-不快」及び「活動性」の2つの次元上での距離は,各刺激図形間の意味情報の類似度を反映すると考えられ,各顔表情図形間の意味情報次元上での距離は異なっていた.手続きとして,注視点500msに続いて各刺激を300ms提示し,被験者には後続のブランク1500ms中に表情弁別判断をボタン押し報告させ,課題遂行中のERP指標及び反応時間を測定,記録した.ERP指標は国際10-20法によるFz,Cz,Pz,T5,T6の各頭皮上部位から両耳朶を基準電極とし,時定数1秒,HFF30Hzで単極導出した.導出・記録には脳波計NEC 1A98A,データレコーダTEAC XR-710, Ag-AgCl電極を使用した. 顔面表情認知に関わる意味情報次元上での各図形間の距離との対応について,全被験者間総平均加算ERP波形における刺激提示後50ms区間ごとの区間平均振幅,頂点潜時の検討を行った.その結果,観察されたP3成分の各潜時帯(潜時350-700ms)で,顔面表情認知に関わる意味情報次元上での距離が大きいほど,これらの潜時帯に観察されるERP成分の振幅が増強し[F(1,11)=16.598^<**>, 20.926^<**>, 7.677^*, 8.776^*, 11.024^<**>, 9.444^*, 5.122^* ; ^*p<.05, ^<**>p<.01],潜時も短縮する傾向として反映されており[F(1,11)=6.685, p<.05],上記の意味情報次元が顔面表情認知の内的処理過程に大きく関わっていることが示唆された.
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