Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
前年度までに構築した脂質分子模型を用いて、二重膜構造をもった小胞(ベシクル)の力学的な力によるベシクルの融合のダイナミクスを明らかにした。融合経路は中間の準安定状態として、両ベシクルの内膜が2分子膜を構成する経路と中間体を形成せずに直接融合する経路の2通りがあることが分かった。力が大きい場合は後者の経路のみが見られる。弱い力の元ではこの2つの経路は確率的に決まる。前者の経路で得られた中間体はストーク模型で予想されていた中間体の構造と似ている。この融合経路は前年度の計算で得られた自発的な融合で得られた経路と異なる。このように融合経路は融合を誘起する要因に依存する。生体内でも複数の融合経路を使い分けている可能性がある。また、ゲル相で観察される多面体の形状のベシクルを数値計算を用いて調べた。これまでの模型に新しい単分子膜の曲率ポテンシャルを考え、加えた。その結果、4面体や立方体など、多数の多面体状ベシクルを得ることができた。このような形状は単分子膜の自発曲率によって調整することができる。多面体の稜での膜の構造などを明らかにした。今後、実験でも様々な形状の多面体ベシクルが得られることが期待される。
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