霊長類の大臼歯の咬耗による形態変化と採食効率の関係
Project/Area Number |
00J02500
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
人類学(含生理人類学)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
清水 大輔 京都大学, 大学院・理学研究科, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥2,700,000 (Direct Cost: ¥2,700,000)
Fiscal Year 2002: ¥700,000 (Direct Cost: ¥700,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 食性 / エナメル小柱 / エナメル質 / 有限要素法 / 歯の力学特性 / 歯の機能 |
Research Abstract |
霊長類の大臼歯を対象に、形態的特徴と咬耗に伴う形態変化の特徴から、食性、採食効率との関係を解明する。更に化石種の大臼歯を用い、形態的特徴、及び咬耗に伴う形態変化の特徴から化石種の食性を復元することを目指す。平成12年度には、咬耗に伴う形態変化の特徴が霊長類の種によって異なることが示され、13年度は、歯のエナメル質の微細構造が種によって異なることを明らかにした。エナメルプリズムの長軸の方向と歯の表面、もしくは咬合面のなす角度が種間で異なる。14年度は、咀嚼時にエナメル質内部に起こる力学的挙動をシミュレーションした。有限要素モデルは一辺が50ミクロンの立方体(エナメル質)と半径が100ミクロンの球(食物)からなり、食物片はエナメル質のブロックの一面と接する。shearingもしくはgrindingのシミュレーションを行うため、一定の摩擦係数(0.1から0.7まで0.1刻みの7モデルを作成)を与えられ舌側から頬側に向かってスライドするようにモデルを作成した。食物片の物性値はヤング率7.8GPa、ポワソン比0.3とした。エナメル質の物性値はヤング率103GPa(Ez)、32.1GPa(Ex, Ey)、横弾性係数31.0GPa(Gzx, Gyz)、13.6GPa(Gxy)、ポワソン比0.3(Nzx)、0.2(Nxy)、0.1(Nyz)とした。咬耗小面とエナメルプリズムのなす角度が異なる7つのモデルを作成した。その結果、応力集中のパタンはエナメルプリズムと咬耗小面のなす角度に依存して、角度が大きい場合に応力が集中する。また、摩擦係数とエナメルプリズムの向きで応力の最大値が決定される。先行研究によると、エナメル質の摩擦係数は咀嚼する食物に依存し、果実や肉では摩擦係数はほぼ0.1から0.7までの範囲に収まる。歯が壊れないようにするという観点から考えると、エナメルプリズムの向きと食物の摩擦係数は密接にかかわっていることが示唆された。化石類人猿Nacholapithecusの食性については咬耗の進行の様子からも果実もしくはナッツを主に食べていたことが推測される。
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Report
(1 results)
Research Products
(3 results)