Project/Area Number |
00J02607
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Research Category |
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
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Allocation Type | Single-year Grants |
Section | 国内 |
Research Field |
Physical chemistry
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Research Institution | Okazaki National Research Institutes (2001-2002) Rikkyo University (2000) |
Research Fellow |
李 秀栄 岡崎国立共同研究機構, 分子科学研究所, 特別研究員(PD)
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Project Period (FY) |
2000 – 2002
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2002)
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Budget Amount *help |
¥3,200,000 (Direct Cost: ¥3,200,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,000,000 (Direct Cost: ¥1,000,000)
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Keywords | 水溶液内反応 / 分子認識・自己集合 / ホスト-ゲスト相互作用 / 水素結合 / CH / π相互作用 / ab initio分子軌道計算 |
Research Abstract |
水溶液中での詳細な化学反応機構は、いまだ十分明らかになっているとは言いがたい。その理由は、究極的には水分子の極めて高い水素結合能にあると言える。反応分子周辺における溶質-水分子間の水素結合相互作用を分子レベルで明らかにすることは、水溶液中での反応機構を解明する上で最も重要な課題の一つと言える。申請者はこれまで、水和クラスターモデルに対する量子化学計算から、クラスター内プロトン移動反応が周囲を取り巻く水分子の数や配向構造に顕著な依存性を示し、周辺の水分子との間で極めて協同的に進行することを明らかにした。さらに、ONIOM法を用いることで、これまで困難とされてきた第2水分圏の水分子を含む大きな水和クラスターの量子化学計算も可能となることを示した。 今年度は、主に、水溶液中での分子認識や自己集合といったより複雑な過程に対する理論計算を実現するために、ホスト-ゲスト化合物の相互作用計算を行った。分子認識や自己集合過程では、分子の電子状態のみならず溶媒環境を含めた系全体の統計的な性質が重要となる。そのため力場を用いた統計的シミュレーションが有用な手段として用いられているが、より信頼度の高いシミュレーションを行うためには分子間相互作用に対する詳細な理解が必要不可欠である。本研究では、近年、ホスト-ゲスト錯体形成や選択性発現の重要な駆動力として注目を浴びているCH/π相互作用の本質、置換基の効果、OH/O水素結合との協同効果を量子化学計算により考察した。分散力が大きく寄与するCH/π相互作用の記述には電子相関を含めた精度の高い計算が必要不可欠である。密度汎関数法を用いた計算では、いずれも相互作用エネルギーが過小評価されることから、CH/π相互作用の記述にはMP2法などのpost-HF法の取り扱いが必須である。モデル系(ベンゼン-アルコール)に対するMP2計算から、CH/π相互作用の主たる駆動力は分散力であることがわかった。また、ゲスト分子に極性の置換基を導入することで、CH/π相互作用が強くなることを示した。この起源としては、相互作用に最も大きな寄与をする分散力の変化が考えられるが、本研究では,静電的な相互作用の変化が重要な役割をしていることを明らかにした。さらに、OH/O水素結合とCH/π相互作用によって多重認識を行うレソルシナレーンの錯体に着目し、CH/π相互作用の本質的な寄与を検討した。CH/π相互作用は、より強いOH/O相互作用の共存下でも、錯体形成に重要な駆動力となることを示した。一方、錯体形成の選択性とCH/π相互作用の強さの間に直接的な相関は認められず、選択的な錯体形成における協同効果の重要性を示唆する。
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Report
(1 results)
Research Products
(5 results)