Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
これまでプロスタグランジン(PG)D受容体欠損マウスは、C57BL/6に5代戻し交配したものを用いて解析を行ってきた。このDP受容体欠損マウスでは、喘息モデルにおいて肺への好酸球浸潤が強く抑制され気道過敏性を示さないことから、PGD2がアレルギー反応を増強する作用を持つことが明らかとなった。昨年度は、C57BL/6への戻し交配をさらに進め10代まで戻し交配するとともに、免疫の研究で標準的に使用されるBalb/cへ戻し交配を5代まで行った。遺伝的背景をより純系へ近づけることにより、精度の高い解析が可能となった。その結果、C57BL/6へ10代まで戻し交配したマウスでも同様の結果を得た。またBalb/cへ戻し交配を5代まで行ったDP受容体欠損マウスについても、肺への好酸球浸潤やサイトカイン産生に関してはほぼ同様の結果を得たが、気道過敏性は認めた。一方、喘息以外のI型アレルギー反応の病態モデルとして、Balb/cへ戻し交配を5代まで行ったマウスを用いて、卵白アルブミン誘発アレルギー性結膜炎モデルにて解析を行った。その結果、尾静脈に注射したエバンスブルー色素の漏出量が、野生型に比較し有意に減少していた。このことから、アレルギ喘息のみならず、アレルギー性結膜炎においてもPGD_2がアレルギー反応のメディエーターとして作用することが示唆された。さらに詳細なメカニズムの解析を行うため、アレルギー反応における遺伝子発現プロファイルの経時変化をGeneChip^<TM>を用いて解析した。予測どおり病態時における炎症関連遺伝子やTh2サイトカイン遺伝子の発現増強が認められたが、従来の方法でこれら膨大なDATAから生体内での詳細な反応を予測するのは困難と思われた。現在これらの解析が可能な統計学的手法を用いたクラスター解析ソフトを導入しDATAを解析中である。