Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
本年度においては、以前Endo-Mを用いた科学酵素法により合成した、複合型シアロ及びアシアロネオ糖脂質を用いて単クローン抗体の生成実験を行った。合成ネオ糖脂質をマウスに免疫化を行い、ハイブリドーマのスクリーニングを行ったところ、それぞれの抗原と反応する抗体の生成を確認した。さらに抗体反応の再現性、並びにハイブリドーマの安定性の検討を行った結果、シアロ抗原に反応性を示し、アシアロ抗原に反応性を示さないハイブリドーマ株を得ることに成功した。このハイブリドーマから得られるIgM抗体Mab241-5-2の反応性について種々の基質において検討を行ったところ、この抗体はシアリルα2→6結合を有する糖タンパク質糖鎖を特異的に認識する抗体であり、ガングリオシドなどの天然糖脂質やシアル酸のみの人工糖脂質には全く反応を示さなかった。更に正常細胞由来、並びに癌細胞由来のαフェトプロテインに対してELYSA法にてアッセイを行ったところ、正常人由来より癌細胞由来のものに対してより高い反応性を示し、また抗体とαフェトプロテインとの反応性は他の糖タンパク質よりもかなり高い反応性を示すことから癌検査の実用化への.期待がもてる。また多価集合効果による、インフルエンザウィルスなどに対する高い結合活性を期待した新奇複合型シアロ糖鎖素材の合成についてはキトサンに引き続き、金にとの結合が可能で糖タンパク質糖鎖チップとしての応用も期待できるチオクト酸残基を有するN-アセチルグルコサミニド類縁体を合成し、糖転移反応を行うことでシアロ糖タンパク質糖鎖のチオクトシド体を得た。糖転移体は金コロイドへの固定化を行い、Neu5Acα(2→6)Gal特異的認識レクチンTJA-1に対しての凝集活性を調べたところ。当量の糖ペプチドより強い結合活性を確認した。