Budget Amount *help |
¥3,600,000 (Direct Cost: ¥3,600,000)
Fiscal Year 2002: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2001: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
Fiscal Year 2000: ¥1,200,000 (Direct Cost: ¥1,200,000)
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Research Abstract |
本研究では,サワラの資源加入機構を解明するために,初期成長・生残・加入量と初期餌料環境との関連をフィールド調査と飼育実験を通じて調査する。3年目にあたる本年度は,瀬戸内海におけるフィールド調査によりこれまでに蓄積したデータの解析に主眼を置き,とくに摂餌開始期の餌料環境と成長およびその後の幼期を通じての生残・加入との関係を調査した。 瀬戸内海中央部の燧灘において稚魚ネットの水平曳によるサワラ仔魚の採集(初期発生量調査),プランクトンネットの鉛直曳による餌料プランクトンの採集(初期餌料調査),船曳網による幼稚魚の採集(当歳魚調査)および1歳魚の漁獲量調査(加入量調査)を5年間にわたり行った。初期発生量調査および初期餌料調査により得られた試料をもとに,天然海域における餌料生物密度の時・空間的変化と,仔魚期の分布密度・成長速度との関係を明らかにした。当歳魚調査と加入量調査により得られた試料に基づき,浮遊生活期の成長速度と加入量との関連を明らかにした。これらの結果の一部を,1980年代に同海域において行われた調査結果と対比させ,瀬戸内海中・西部のサワラ個体群の加入決定機構の年代間比較を行った。1990年代には,サワラ仔魚の出現時期がその主要餌料であるニシン目仔魚の出現時期とよく一致し,サワラ仔魚の成長が速かった年に強い年級が発生することを確認した。 3年間の研究成果により,魚食性へと特化した摂食戦略を持ち高成長による生き残りを高める反面,ごく限られた環境下でしか生き残ることができないというトレードオフを伴ったサワラの初期生残戦略が浮き彫りにされた。これらの研究成果の一部を,第132回アメリカ水産学会(2002年8月21日,ボルチモア)において口頭発表した。
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