Research Project
Grant-in-Aid for JSPS Fellows
平成13年9月1日より平成14年8月31日までアメリカ合衆国マサチューセッツ工科大学理論物理学センターにおいて研究を行った。平成14年8月31日付で中途辞退するまでに行った本年度の研究はtachyon matterを重力理論の解として理解しようとする試みである。Tachyon matterとは不安定な非BPSブレインの崩壊やDブレイン-反Dブレインの対消滅の後に残る圧力を持たない物質のことであり、近年A. Senによってその存在の可能性が指摘された。このtachyon matterに対する取り組みには弦の場の理論を用いたものや、ブレイン上の有効理論を用いたものなどがあったが、我々の研究ではtachyon matterを弦理論における背景時空として、弦理論の低エネルギーでの有効理論である重力理論を解くことによって解明することが目的である。我々は重力場とディラトン場、反対称テンソル場が結合した一般的な弦理論の有効理論のP+1次元に広がった物体(ブレイン)を記述する重力解について考察を行った。この解は4つのパラメーターを含んでいるが、このパラメーターのある特別な値でブレイン上に局在化したエネルギー運動量テンソルの圧力部分がゼロになることを見出した。我々はこのパラメーターの値での重力解がtachyon matterをあらわすものと考え、この物体のHawking温度などの性質について調べた。この研究は京都大学大学院理学研究科の横野貴志氏に協力をお願いした。
All Other
All Publications (2 results)